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【他科への手紙】救急科→消化器外科

No.4846 (2017年03月11日発行) P.57

古屋智規 (産業医科大学医学部救急医学講座講師)

登録日: 2017-03-10

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  • 消化器外科の先生方には、平素より大変お世話になっております。先生方のご多忙さは常日頃から感じており、特に定期手術で集中している際に緊急で連絡を差し上げることは本当に心苦しく、我々救急科としても手術を妨げるつもりは毛頭ないことを改めてお伝えしたく存じます。さらには、特に急性腹症の患者につきまして、迅速にご対応頂き心からお礼申し上げます。

    さて、救急科から紹介する患者の中でも、特に緊急を要する救急対応疾患と言えば腹部外傷ですが、この腹部外傷患者の対応についてお願いがあります。交通外傷などの鈍的外傷があり救急搬送された患者で、ショック状態に陥っている場合、我々救急科は速やかに蘇生を開始するとともに、その原因を気道、呼吸、循環の順にチェックします。実は、外傷性ショックの9割は出血性ショックと言われておりますので、出血源も同時にチェックします。大量血胸、骨盤骨折などとともに多い出血源は腹腔内出血であり、超音波検査(focused assessment with sonography for trauma:FAST)が有用とされています。FASTで大量の腹腔内出血が想定され、そこが主たる出血源と考えられる場合、O型の緊急輸血を開始するのは勿論ですが、気管挿管をして酸素供給を確実にします。

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