株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

ピロリ菌除菌治療─最近の話題 [J-CLEAR通信(73)]

No.4844 (2017年02月25日発行) P.38

上村直実  (国立国際医療研究センター国府台病院病院長)

登録日: 2017-02-24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • Helicobacter pylori(ピロリ菌)に対する除菌治療において標準的レジメンとして使用されているプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)+アモキシシリン(AMPC)+クラリスロマイシン(CAM)の「3剤併用PAC療法」の除菌率が著明に低下していることが世界的に問題となっている。その一方で,最近では,高い除菌率を示す標準療法以外のレジメンが数多く報告されているのも事実である。除菌率に最も影響を与える因子は,ピロリ菌のCAMおよびメトロニダゾール(MNZ)に対する耐性率であるが,これはそれぞれの国や地域によって異なる。

    本稿では,国際的な除菌治療の潮流とわが国の臨床現場における実態について紹介する。

    クリニカルエビデンスに基づく世界的な除菌治療の流れ

    最近頻繁に実施されている除菌治療法に関するシステマティックレビューやメタ解析が,2013年および2015年に発表された。イタリアから報告された2013年のシステマティックレビュー1)では,46の無作為化比較試験(randomized controlled trial:RCT)(n=13532)を対象に,系統的レビューとメタ解析を行った結果,PPI+AMPCの2剤併用療法を5日間実施後,PPI+CAM+ニトロイミダゾール誘導体の3剤併用療法を5日間実施する「順次療法」(5666例)の除菌率は84.3%(95%CI:82.1~86.4)であった。これは,7日間ないし10日間にわたって3剤併用PAC療法を行った場合の除菌率よりも有意に高率(RR:1.21,95%CI:1.17~1.25/RR:1.11,95%CI:1.04~1.19)であったことから,1次除菌療法としての「順次療法」の有用性が示唆された。

    残り2,056文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top