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(3)乳幼児RSV感染症の治療と予防 [特集:知っていますか! RSV感染症]

No.4828 (2016年11月05日発行) P.36

新井田麻美 (東京都保健医療公社多摩北部医療センター小児科医長)

中山哲夫 (北里大学北里生命科学研究所ウイルス感染制御学研究室Ⅰ教授)

登録日: 2016-11-04

最終更新日: 2016-11-01

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  • Q10 乳幼児RSV感染症はどのように診断しますか?

    A10 鼻咽腔ぬぐい液を用いたウイルス分離が基本的な病原診断となりますが,感受性細胞を常備し,細胞変性効果の出現まで2~5日を必要とするため,臨床には不向きです。PCR法を用いてウイルスRNAを検出する方法もありますが,特殊な機器を必要とするため,限られた施設でのみ可能となります。
    現在,イムノクロマト法を用いた抗原検出が簡便で,臨床の場でも汎用されています1)。この鼻咽腔ぬぐい液を用いた迅速診断キットは,前処理や特殊な器材や設備が不要な上,操作が少なく簡便で,目視判定ができるといった利点があります。通常10分ほどの操作で結果が得られます。感度・特異度ともに高く,ベッドサイドにおける有用性が認められています。当初,保険適用が入院症例のみでしたが,外来の乳児やパリビズマブの適応となる基礎疾患を持つ症例まで適用が拡大し,頻用されています。
    RSVでは不顕性感染,潜伏感染がないため,急性呼吸器感染症状を伴う乳児からウイルスが検出された場合は,感染原因ウイルスと診断されます。ただし,重複感染は起こりうるため,RSV感染による症状にそぐわない臨床像や血液検査がみられたら,重複感染を疑う必要はあります。

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