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X線治療の新保険収載と放射線治療看護 【保険の適用範囲が広がり,資格取得者の看護師も増加】

No.4811 (2016年07月09日発行) P.52

山下英臣 (東京大学医学部附属病院 放射線科講師)

入澤裕子 (東京大学医学部附属病院 放射線科)

登録日: 2016-07-09

最終更新日: 2016-10-29

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2016年の診療報酬改定における変更点の1つ目は「体外照射」である。これは,それまで頭頸部腫瘍(頭蓋内腫瘍を含む)に限られていた,精密に固定する器具の算定(患者1人につき1回に限る)の適応が,悪性腫瘍全般に広げられたことを意味する。これまで,費用は病院の持ち出しで膵癌や前立腺癌で固定具を作製している施設も少なくなかった。2つ目は,「直線加速器による放射線治療」の中で,悪性腫瘍に対する体幹部定位放射線治療の適応が,これまでの肺癌と肝癌(転移性も含める)だけだったものが,転移病巣のない限局性の前立腺癌にも拡大されたことである。当科でも,強度変調回転照射(volumetric modulated arc therapy:VMAT)を用いて前立腺癌の定位照射を開始している。
最近の放射線治療に携わる看護師として資格取得者が増えてきている。その背景には,「外来放射線照射診療料」の算定のために,常勤である専従看護師の登録が必須になったことや,資格取得看護師が医師と協働して「がん患者指導管理料1」を算定できるようになったことが挙げられる。がん看護の経験が豊富であり,かつ放射線治療の専門知識を身につけた有資格者が放射線治療部門に配属されることにより,ほかの看護師のモデルとなり,リーダーシップを発揮することで,看護の質の向上に貢献できると思われる。有資格者とは,日本看護協会が審査・認定する専門看護師や認定看護師のことで,放射線治療の領域では,「がん看護専門看護師」や「がん放射線療法認定看護師」が活躍している。

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