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萎縮性痤瘡瘢痕に対するフラクショナルラジオ波療法  【従来より表皮へのダメージが少なく,蒸散型レーザーに近い奏効率を認める】

No.4810 (2016年07月02日発行) P.52

上中智香子 (和歌山県立医科大学光学的美容皮膚科 寄附講座講師)

山本有紀 (和歌山県立医科大学病院教授・皮膚科 准教授)

登録日: 2016-07-02

最終更新日: 2016-10-29

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萎縮性ざ瘡瘢痕の治療法として,外科的手術,レーザーによる剥削術,注入療法などがあるが,安全で高い有効性や患者満足度を得られる治療法は確立されていない。このため,瘢痕予防としてざ瘡に対する積極的な早期治療と維持療法が必要である(文献1)。
2004年に微細なレーザー光により点状に照射するフラクショナルレーザー療法が提唱された。これは従来の剥削術に比べて,ダウンタイムや術後の合併症が少なく,かつ治療効果が高いとされる(文献2)。蒸散型(剥離的)と凝固型(非剥離的)に大別され,蒸散型の代表的なレーザーの種類はYSGG, Er:YAG,炭酸ガスがある。組織を蒸散するため治療効果は高いが,瘢痕形成のリスクがある。
近年になり,ラジオ波を用いたフラクショナル療法が出現した。熱変性は末広がりに円錐形が形成されるように設計され,ほかのフラクショナルレーザーよりも表皮へのダメージは少なく,真皮へ強力な熱作用を及ぼす蒸散型に近い奏効率を認めている。また,ざ瘡瘢痕のみならずざ瘡皮疹への有効性が確認され,瘢痕予防にもつながると考えられる(文献3,4)。

【文献】


1) 林 伸和, 他:日皮会誌. 2008;118(10):1893-923.
2) Manstein D, et al:Lasers Surg Med. 2004;34(5):426-38.
3) 山本有紀, 他:PEPARS. 2016;111:92-9.
4) Kaminaka C, et al:J Dermatol. 2015;42(6):580-7.

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