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新しい創傷治療:人工真皮を用いた創傷治療  【生着しやすく,柔軟で拘縮の少ない良質な皮膚移植を実現】

No.4805 (2016年05月28日発行) P.55

山下昌信 (金沢医科大学形成外科講師)

登録日: 2016-05-28

最終更新日: 2018-11-27

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人工真皮は,真皮様構造を構築する目的で開発された医療材料で,コラーゲンスポンジとシリコーンシートの2層構造になっている。適応となる創傷は,自然治癒が期待できないⅢ度熱傷創に対するデブリードマン後の皮膚欠損創,外傷や皮膚腫瘍切除,あるいは瘢痕切除により生じた皮膚全層欠損創などである。貼付後,約2週間でコラーゲンスポンジ内に真皮様構造が構築され,その後,植皮などによる創閉鎖が行われる(文献1)。
人工真皮を使用することにより平坦で良好な移植床が形成されるため,植皮は生着しやすく,柔軟で拘縮の少ない質の良い移植皮膚となる。小範囲であれば,骨や腱の露出した創傷にも使用が可能であり,骨や腱の上に良好な真皮様構造が構築されれば,より低侵襲な治療で創治癒が得られる。一方,高度に汚染された創傷や既に感染している創傷に対しては使用できない。
近年,人工真皮はほかの治療法と組み合わせて使用されることも多い。真皮様組織の速やかな構築を期待して,人工真皮を貼付した上から局所陰圧閉鎖療法を併用する方法,広範囲熱傷に対する自家培養表皮移植において,必要な母床としての真皮様構造を人工真皮により構築する方法,多血小板血漿などを用いた慢性創傷の治療における足場材料として使用する方法など,創傷治療には欠かすことのできない医療材料となっている。

【文献】


1) Suzuki S, et al:Br J Plast Surg. 2000;53(8):659-66.

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