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先天性肺気道奇形(CPAM)の病理学的な新分類 【発生部位に推測される気管支レベルを加味した病理組織分類法】

No.4798 (2016年04月09日発行) P.54

田附裕子 (大阪大学小児成育外科准教授)

奥山宏臣 (大阪大学小児成育外科教授)

登録日: 2016-04-09

最終更新日: 2016-10-26

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CPAMは先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM)として,Stockerらが嚢胞のサイズにより3型に分類したが(文献1),近年,病理組織学的に発生部位を加味した以下の新分類(5型)が発表された(文献2)。
type 0(気管):全体の1~3%。嚢胞の最大径が0.5cmと小さく,偽重層線毛上皮を有する。粘液産生性上皮や気管軟骨も存在するが,骨格筋は存在しない。
type 1(気管支):全体の60~70%。2~10cmの薄い隔壁を有する単発あるいは多発性の嚢胞で,偽重層線毛円柱上皮を有しており,粘液産生性上皮を一部に認める。平滑筋や弾性線維もある。
type 2(細気管支):全体の10~15%。嚢胞はtype 1より小さく0.5~2cmで,線毛上皮により覆われる。粘液産生性上皮はない。
type 3(肺胞管):嚢胞は微細(0.5cm以下)で,粘液産生性細胞はない。複数の肺葉を占め,充実性腫瘍との鑑別が必要となる。
type 4(遠位細葉,肺胞):全体の5~10%。多くは末梢肺葉,胸膜近くに位置し,薄い隔壁を持つ嚢胞よりなる。組織学的には線毛のない扁平な肺胞上皮類似の上皮細胞に被覆される。粘液産生性細胞や骨格筋細胞はない。
以上,この新しい概念に完全なコンセンサスは得られていないが,この病理分類に基づいた診断が推奨されつつある。

【文献】


1) Stocker JT, et al:Hum Pathol. 1977;8(2):155-71.
2) Stocker JT:Pediatric Pathology. 2nd ed. Lip-pincott Williams & Wilkins, 2001, p466-73.

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