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多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)における胸腺神経内分泌腫瘍  【胸腺全摘が原則で,進行の程度によっては拡大胸腺全摘や術後放射線治療が追加】

No.4790 (2016年02月13日発行) P.52

鈴木眞一 (福島県立医科大学甲状腺内分泌学主任教授)

登録日: 2016-02-13

最終更新日: 2016-10-26

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多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)は,原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)や膵・消化管神経内分泌腫瘍(GEPNET),下垂体腺腫などに発生し,PHPTが最も高頻度に認められる症候群である(文献1)。胸腺・気管支の神経内分泌腫瘍(NET)も約15%に認められる。海外の報告では胸腺NETは男性に,気管支NETは主に女性に認められると報告されていたが,わが国のデータ集積からは,胸腺NETの36%は女性に認められた(文献2)。
MEN1の予後は胸腺NETとGEPNETが影響する。特に前者は10年生存率が30.3%と低く,再発も多く(文献2),早期診断・治療が原則である。手術は胸腺全摘が原則であるが,進行の程度により拡大胸腺全摘や術後放射線治療も追加される。MEN1,特にPHPTで診断・治療する際には,多腺性で頸部~縦隔胸腺部にも副甲状腺腫が認められることから,胸腺切除も考慮されることが多い。また,術前に十分な胸腺の画像診断などに対するチェックも必要である。
さらにサーベイランスとしては,わが国ではクロモグラニンAなどの血清マーカーが未承認であることから,CTなどによる画像診断を行うしかない。したがって,GEPNETとともに胸部・腹部のCTなどを計画する。

【文献】


1) Sakurai A, et al:Clin Endocrinol(Oxf). 2012;76(4):533-9.
2) Sakurai A, et al:Clin Endocrinol(Oxf). 2013;78(2):248-54.

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