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ANCA関連血管炎に対するリツキシマブによる治療と再発予防

No.4769 (2015年09月19日発行) P.55

古田俊介 (千葉大学アレルギー・臨床免疫学特任講師)

中島裕史 (千葉大学アレルギー・臨床免疫学教授)

登録日: 2015-09-19

最終更新日: 2016-10-26

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抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎は,自己抗体であるANCAの存在と全身の小型血管炎を特徴とする疾患である。1970年代以降ステロイドとシクロホスファミド(CY)の併用療法により,その予後が大きく改善した。ステロイド+CYは今日でも標準治療であり続けているが,一方で新規治療薬リツキシマブが近年注目を集めている。
リツキシマブはB細胞の表面抗原CD20に対する抗体製剤で,ANCAの産生源となるB細胞を除去することができる。海外でリツキシマブとCYを比較する臨床試験(RAVE試験(文献1),RITUXVAS試験(文献2))が行われた。全体として両群の寛解導入率,安全性に差はなかったが,再発例に限定するとリツキシマブのほうが有効であった。この結果をふまえて2013年,わが国でも公知申請によりリツキシマブはANCA関連血管炎に対し薬事承認された。費用対効果を考慮すると,現時点の適応は再発例とCY使用困難な初発例と考えられる。
また,近年では再発予防目的でリツキシマブの繰り返し投与も試みられている。MAINRITSAN試験(文献3)では,リツキシマブ6カ月ごとの投与で28カ月の再発率は5%に抑えられた。しかし,安全面も含めた最適な維持投与法(期間,間隔,1回量)はいまだ不明である。

【文献】


1) Stone JH, et al:N Engl J Med. 2010;363(3):221-32.
2) Jones RB, et al:N Engl J Med. 2010;363(3):211-20.
3) Guillevin L, et al:N Engl J Med. 2014;371
(19):1771-80.

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