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シェーグレン症候群[私の治療]

No.5236 (2024年08月31日発行) P.45

坪井洋人 (筑波大学医学医療系膠原病リウマチアレルギー内科学准教授)

東光裕史 (筑波大学医学医療系膠原病リウマチアレルギー内科学)

松本 功 (筑波大学医学医療系膠原病リウマチアレルギー内科学教授)

登録日: 2024-08-30

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  • シェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome:SS)は唾液腺炎・涙腺炎を主体とし,抗SS-A/B抗体等の自己抗体の出現がみられる自己免疫疾患である。SSは他の膠原病の合併がみられない一次性SSと,他の膠原病を合併する二次性SSとに大別される。さらに一次性SSは,病変が唾液腺炎・涙腺炎などの腺性症状だけの腺型と,病変が全身諸臓器に及ぶ腺外型とに分類される。わが国では2015年1月1日より指定難病となり,診断基準と重症度基準を満たした場合には,医療費助成の対象となった。

    ▶診断のポイント

    診断基準として,わが国では厚生省改訂診断基準(1999年)1)が汎用され,指定難病の診断基準でも採用されている。①生検病理組織検査(口唇唾液腺,涙腺生検),②口腔検査(唾液腺造影,唾液分泌量,唾液腺シンチグラフィ),③眼科検査(涙液分泌量,眼染色検査),④血清検査(抗SS-A/B抗体)の項目を評価し,いずれか2項目以上を満たす場合にSSと診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    診断確定後,腺外病変の評価,他の膠原病合併の評価を行い,病型診断(一次性,二次性,腺型,腺外型)に基づき,治療方針を決定する。腺外病変に対してはグルココルチコイド・免疫抑制薬,腺病変に対しては局所療法・唾液分泌刺激薬の内服が主体となる。わが国で策定された「シェーグレン症候群診療ガイドライン2017年版」2),欧州リウマチ学会(EULAR)から2019年に発表された「SSの局所と全身治療に関するEULARリコメンデーション」3)も参考になる。

    【腺外型一次性SS(腺外病変)に対する治療】

    活動性の高い重要臓器障害(進行性の間質性腎炎,活動性の間質性肺障害,活動性の筋炎,末梢・中枢神経障害,臓器障害を伴う血管炎等)に対しては,中等量以上のグルココルチコイド,免疫抑制薬に加えて,種々の病態特異的治療,血漿交換療法,さらに難治例では生物学的製剤の適応(ただし保険適用外)も考慮される。その他の臓器障害のうち,関節痛・関節炎に対しては非ステロイド性抗炎症薬を用い,効果不十分あるいは関節炎が高度の場合には,少量のグルココルチコイドや抗リウマチ薬の適応(ただし保険適用外)を考慮する。皮疹に対しては外用グルココルチコイドを用い,重度の場合には経口グルココルチコイドを考慮する。

    【腺型一次性SS(腺病変)に対する治療】

    眼局所療法(点眼薬,涙点プラグ),口腔局所療法(人工唾液,保湿剤),内服療法(唾液分泌刺激薬)を行う。

    【他の膠原病を合併した二次性SSに対する治療】

    合併する他の膠原病により,治療方針は異なる。高度の関節炎を伴うSSの場合には,関節リウマチの合併(関節リウマチ合併二次性SS)を考慮し,関節リウマチに対する正確な診断と疾患活動性の評価を行い,治療方針を決定する。

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