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原発性副甲状腺機能亢進症の手術

No.4762 (2015年08月01日発行) P.61

日比八束 (藤田保健衛生大学内分泌外科准教授)

登録日: 2015-08-01

最終更新日: 2016-10-26

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原発性副甲状腺機能亢進症は,病理学的には腺腫,過形成,がんに分類され,その頻度はそれぞれ約90%,10%,1%未満とされている。しかし,これらは病理的所見のみから診断することは困難であることが多く,臨床的所見を参考にして区別されることも少なくない。すなわち,腺腫は単腺腫大,過形成は全腺腫大,がんは周囲組織への明らかな浸潤や転移病変の存在で診断されることがある。このうち,腺腫は腫大腺のみの摘出で,過形成では亜全摘術もしくは全腺摘出後自家移植術で治療を行うが,稀に2腺腫大している腺腫症例が存在することがあり,過形成では腫大腺の大きさが,同じ個体であっても必ずしも均一でないことが多かった。そのため,手術の際,腫大腺を遺残させないために頸部創から両側の気管周囲を観察し,単数もしくは複数の腫大腺の存在を肉眼的に確認することが必要であった。
しかし,近年の表在臓器に対する超音波検査の解像能が進歩したことや,高い感度で腫大腺に集積する99mTc-MIBIシンチグラムについて,副甲状腺機能亢進症における局在診断への適用が2010年に承認されたことにより,病的腫大腺の局在診断能は以前に比べて格段に向上した。さらに,術中にintact PTHの測定結果が得られる施設も増加し,摘出前後の測定値を比較することで,手術の成否が術中に判断できるようになった。そのため,単腺腫大で局在性が明らかな腺腫症例に対しては,腫大腺直上の皮膚小切開のもと腫大腺を摘出し(minimally invasive parathyroidectomy),術中intact PTH測定にて副甲状腺ホルモンの低下を確認して手術を終了する専門施設が増加している。

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