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汎発性膿疱性乾癬の病因

No.4757 (2015年06月27日発行) P.53

杉浦一充 (名古屋大学皮膚科准教授)

秋山真志 (名古屋大学皮膚科教授)

登録日: 2015-06-27

最終更新日: 2016-10-26

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乾癬の病型は尋常性乾癬(PsV),滴状乾癬, 汎発性膿疱性乾癬(GPP),限局性膿疱性乾癬,乾癬性紅皮症,関節症性乾癬に分類される。GPPは急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し,無菌性膿疱が多発する難病である。再発を繰り返し,時に致死性である。誘発因子は上気道感染,薬剤,妊娠などである。
従来GPPは病因不明で,後天性の疾患と考えられていた。しかし近年,「PsVを伴わないGPP」の大半はインターロイキン-36受容体拮抗因子の遺伝子(IL36N)の変異が病因の疾患であることが筆者らにより解明され,疾患概念そのものが後天性の疾患から遺伝性の疾患に改められた(文献1)。疱疹状膿痂疹(IH)は妊娠後期に急速に発症する全身の無菌性膿疱,発熱を特徴とする。時に妊婦,胎児の死亡に至る。近年,筆者らにより,少なくともIHの一部もIL36N変異が病因であることが明らかにされた(文献2)。
急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)は重症薬疹の一型である。しばしばGPPと鑑別困難な症例もある。AGEPの一部でもIL36N変異が病因に関与していることが明らかになっている。
GPP関連疾患の病因となるIL36RN変異は日本人の約2%(260万人)に存在する。したがって,GPP関連疾患ではIL36RN変異解析をすべきである。後天性と考えられていた疾患の病因が明らかになった。これを契機として,病態解明と新規治療法開発への期待が高まっている。

【文献】


1) Sugiura K, et al:J Invest Dermatol. 2013;133(11):2514-21.
2) Sugiura K, et al:J Invest Dermatol. 2014;134(9):2472-4.

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