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DMATの役割

No.4754 (2015年06月06日発行) P.50

六車 崇 (横浜市立大学救急医学)

森村尚登 (横浜市立大学救急医学教授)

登録日: 2015-06-06

最終更新日: 2016-10-26

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DMAT(Disaster Medical Assistance Team)は,広域災害や大規模事故災害などの際に,災害現場・被災地域内で迅速に救命治療を行うための専門的な訓練を受けた,機動性を有する災害派遣医療チームである。災害急性期に,被災地域内での情報収集,トリアージ,応急治療,医療機関の支援,被災地外への患者搬送などを行う。
従来の災害医療体制は災害救助法に規定されたものに限定されていた。しかし,1995年の阪神・淡路大震災で多数の防ぎえた災害死が発生し,初動体制の不備が示唆された。2001年の厚生労働省「災害医療体制のあり方に関する検討会」の報告書で,災害拠点病院に緊急派遣可能な医療チームを編成する構想が提唱された。その後,平成13年度厚生科学特別研究によって課題が整理され,2004年に東京DMAT,2005年に日本DMATが発足している。
発足後は,2006年9月からDMATの講習の開催が全国2箇所に,2012年10月からDMAT事務局の設置が全国2箇所になった。また,2012年4月からは災害拠点病院の指定要件にDMAT保有が追加される(文献1)など,体制整備が進められている。
2011年の東日本大震災における,慢性疾患への対応の必要性や活動期間の想定超過が顕在化した経験から,長期間の活動へは次隊派遣により対応することとされ,幅広い疾患に対応できるようDMAT活動要領の見直しが進められている(文献2)。

【文献】


1) 厚生労働省医政局長通知:災害時における医療体制の充実強化について. 医政発0321第2号, 2012年3月21日.
2) 災害医療等のあり方に関する検討会:災害医療等のあり方に関する検討会報告書. 2011年10月.

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