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膵神経内分泌腫瘍の分子標的治療

No.4743 (2015年03月21日発行) P.54

横田雄大 (山梨大学第一内科)

榎本信幸 (山梨大学第一内科教授)

登録日: 2015-03-21

最終更新日: 2016-10-26

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膵神経内分泌腫瘍(pNET)は比較的稀な腫瘍で進行は緩徐と考えられているが,組織学的に高分化であってもリンパ節や肝臓へ転移し,予後不良となることが知られている。2010年にWHOにより,腫瘍を悪性度ごとに,組織学的な細胞増殖能に基づきNET G1,NET G2,NEC(神経内分泌癌)へ分類することが提唱された(文献1)。
切除不能のpNETに対する化学療法は,NET G1/G2(高分化型)かNEC(低分化型)かによって治療方針が大きく異なる。NECに対しては類似した性格を有する小細胞肺癌に準じた白金製剤をベースとした多剤併用療法が用いられている。NET G1/G2に対しては,海外ではストレプトゾシンを中心とする細胞傷害性薬剤やインターフェロンが用いられてきたが,わが国では保険適用がなく,体系だった治療法は確立されていなかった。
近年の分子生物学研究の進歩により,種々のがんにおいて分子標的治療薬が使用されるようになった。pNETにおいては2011年12月にエベロリムス(アフィニトールR),2012年8月にスニチニブ(スーテントR)がわが国での適応症の承認を取得した。それぞれpNETを対象に海外で実施された第3相試験において,エベロリムスは無増悪生存期間を4.6カ月から11.0カ月へ延長し(文献2),スニチニブは無増悪生存期間を5.5カ月から11.4カ月へ延長することが示されている(文献3)。

【文献】


1) Bosman FT, et al:WHO Classification of Tumours of the Digestive System. 4th ed. IARC, 2010.
2) Yao JC, et al:N Engl J Med. 2011;364(6):514-23.
3) Raymond E, et al:N Engl J Med. 2011;364(6): 501-13.

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