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見えてきた全身性エリテマトーデス治療の変化の兆し

No.4733 (2015年01月10日発行) P.47

藤尾圭志 (東京大学アレルギー・リウマチ内科講師)

山本一彦 (東京大学アレルギー・リウマチ内科教授)

登録日: 2015-01-10

最終更新日: 2016-10-26

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全身性エリテマトーデス(SLE)は抗核抗体,抗2本鎖DNA抗体の出現を特徴とし,腎臓,胸膜,心膜,中枢神経などが傷害される自己免疫疾患である。治療の基本は,大量ステロイドとシクロホスファミドなどの免疫抑制剤との併用である。関節リウマチでは抗体製剤を中心とする生物学的製剤が大きな効果を上げているが,SLEの治療では,この20年以上あまり大きな進歩はみられていない。
自己抗体を産生するB細胞を除去する抗CD20抗体リツキシマブは,SLEの一部の症例で有効性を示したものの,少なくとも2つの大規模臨床試験において有効性は確認されなかった。その一方で,B細胞の分化と維持に重要なサイトカインであるBリンパ球刺激因子(BLyS)に対する抗体ベリムマブは,重度のループス腎炎および中枢神経ループスのないSLEにおいて一定の有効性を示した(文献1)。今後,ベリムマブの重要臓器病変のあるSLEに対する有効性の検討が必要である。
そのほかに,SLEの病態に関与するサイトカインIFN-αに対する抗体も臨床試験が進行しており,効果が期待される。また免疫抑制剤ではミコフェノール酸モフェチル(MMF)が,ループス腎炎においてシクロホスファミドと同等の有効性を持つことが示され,日本においても使用が広がってきている。これらSLE治療の変化の兆しが,今後さらに広がっていくことを期待したい。

【文献】


1) Hahn BH:N Engl J Med. 2013;368(16):1528-35.

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