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嚥下機能検査

No.4717 (2014年09月20日発行) P.58

二藤隆春 (東京大学耳鼻咽喉科講師)

山岨達也 (東京大学耳鼻咽喉科教授)

登録日: 2014-09-20

最終更新日: 2016-10-26

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「口から食べる」ことは,生きがいを持って生きるために重要なことの1つであると近年認識されるようになり,嚥下障害診療への関心が高まっている。嚥下障害に対応するためには嚥下機能検査を適切に行うことが重要である。
これまで耳鼻咽喉科では食道透視検査や軟性喉頭内視鏡検査の延長上で「嚥下造影検査(VF)」や「嚥下内視鏡検査(VE)」で嚥下機能を評価してきたが,2010年の診療報酬改定で両検査が保険収載された。VFは嚥下関連器官の運動と造影剤の移動をX線透視下で観察する検査法であり,嚥下機能検査のゴールドスタンダードとされる。VEは軟性喉頭内視鏡を用いて誤嚥や咽頭残留の様子を直接観察する嚥下機能検査で,(1)放射線被ばくがない,(2)機動性が高くベッドサイドで施行が可能,(3)気道知覚も評価が可能,などの特徴を持つ。
日本耳鼻咽喉科学会が作成した『嚥下障害診療ガイドライン』では,問診や全身・局所を観察した後にまず行うべき検査としてVEを推奨している。VFとVEは同等の診断的意義があるとされ,各々の長所を生かして評価を進めていく必要がある。
胃瘻による延命処置の是非について社会的な議論が高まる中,2014年4月から「胃瘻造設時嚥下機能評価加算」が新設された。本加算はVFまたはVEを実施し,胃瘻造設の必要性,今後の摂食機能療法の必要性や方法などを患者・患者家族に説明した上で,胃瘻造設を実施した場合に算定可能である。嚥下機能検査では,実施による肺炎発症の可能性や腫瘍性病変の除外なども考慮する必要があり,対応可能な医師の育成が急務である。

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