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性同一性障害に対する最近の外科的治療

No.4708 (2014年07月19日発行) P.61

光嶋勲 (東京大学形成外科・美容外科教授)

登録日: 2014-07-19

最終更新日: 2016-10-26

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男性から女性への性別適合手術としては陰茎・睾丸切除,腟形成術などがある。腟形成術は従来睾丸などの皮膚を用いて行われてきたが,最近は腸管を用いて行われはじめている。これは,皮膚で作られた腟は術後狭窄によりその深さが保たれなくなる傾向があったが,腸管の場合は腟の深さが保たれ,狭窄が起こりにくいという利点のためである。
女性から男性への性別適合手術としては乳腺切除,子宮卵巣摘出手術,陰茎尿道形成術がある。陰茎尿道形成術は従来,前腕の皮弁を採取して,これを巻き寿司のように巻いて尿道と陰茎を同一の皮弁内に同時に作るものであった。この方法では皮弁採取部の傷が目立つのみならず,手術後尿道の狭窄をきたしやすく難治性の尿道瘻が多発していた。
そこで,最近開発されたのが,鼠径部の皮弁を用い,太い尿道を作成する方法である(文献1)。この方法は陰茎がやや太いという欠点があるが,血行を持つ腸骨をステントとして含められ,尿道狭窄がなく,採取部位が目立ちにくいという利点がある。この方法はわが国から発信され,最近は性同一性障害(GID)先進国のベルギーなど海外でも普及しつつある。

【文献】


1) Koshima I, et al:J Reconstr Microsurg. 2006;22 (3):137-42.

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