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進化するビデオ喉頭鏡

No.4698 (2014年05月10日発行) P.60

外 須美夫 (九州大学麻酔・蘇生学教授)

登録日: 2014-05-10

最終更新日: 2016-10-26

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気管挿管は気道を確保するために必須の手技である。全身麻酔時の気道確保や人工呼吸器を装着する患者の気道確保,心肺蘇生時の気道確保など,医療現場では気管挿管を実施する機会は多い。
気管挿管の手技は喉頭鏡を用いて実施される。喉頭鏡にはマッキントッシュタイプのものが多く使われているが,声門の確認が容易でない症例に遭遇することも稀ではない。そのような挿管困難症例への対処として,これまでは盲目的に挿管したり,ファイバースコープを用いて挿管したりすることが多かった。
最近ビデオ喉頭鏡が登場し,声門の視認性が向上し気管挿管の安全性が格段に向上している(文献1)。代表的なビデオ喉頭鏡に,エアウェイスコープ(AWS)Rやマックグラス(McGRATH MAC)がある。ビデオ喉頭鏡は,喉頭鏡の先端に小型カメラと光源を装着し,口腔内の様子や挿入具合を小さなスクリーンに映し出して画面で観察しながら挿入できるようになっており,カメラを通して間接的に声門を確認できる。気管チューブが声門を通過する様子も視認できるため,食道への挿管も防止できる。
ビデオ喉頭鏡は,挿管困難が予想される患者,肥満患者,口の小さな患者,頸部伸展に制限がある患者,頸髄損傷が疑われる患者などに有用である(文献2)。しかし,ビデオ喉頭鏡が決して万全というわけではなく,ビデオ喉頭鏡が気管挿管の安全性を保証しているわけではない。

【文献】


1) Mort TC:Crit Care. 2013;17(6):1019.
2) Shirgoska B, et al:Acta Clin Croat. 2012;51(3):457-61.

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