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手の美容再建術─超微小外科手技を用いた再建術

No.4698 (2014年05月10日発行) P.58

光嶋勲 (東京大学形成外科・美容外科教授)

登録日: 2014-05-10

最終更新日: 2016-10-26

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1990年頃より顕微鏡下で0.5mm前後の微小血管吻合が可能となった。これが超微小外科(スーパーマイクロサージャリー)であるが,この手技を用いることで当初,指先爪レベルの切断指再接着が成功した。
その後,(1)指先の欠損に対する足指先の移植,(2)手指の爪欠損に対し栄養血管を吻合する足指爪移植,(3)神経欠損に対し移植片の栄養血管を吻合する生きた神経移植,(4)顔面や四肢の露出部や乳房の陥凹変形に対し移植片の栄養血管を吻合する生きた脂肪移植,(5)重症のリンパ浮腫に対する還流機能を持った正常部位からのリンパ管・リンパ節移植(移植片の血管吻合を行う),(6)失われた気管や上眼瞼の広範な欠損に対する耳介の部分移植による再建,(7)虫垂移植(栄養血管付き)を用いた陰茎尿道の再建,(8)趾の指間部皮弁を用いた口角の再建,(9)趾の末指節関節を血管吻合することで手指の中指節関節にする血管付き関節移植,(10)広範囲な大腿皮弁の栄養血管である穿通枝を移植床の穿通枝と吻合する穿通枝皮弁移植術,などが完成された(文献1)。
現在行われている0.5mm前後の微小血管吻合法は,今後0.1mm前後の血管吻合が可能となり,そしてナノマイクロサージャリーが発達するであろう。その技術を用いれば,栄養血管を付けた生きた細胞塊移植が可能になるであろう。将来は,内分泌細胞,神経細胞,筋肉細胞,骨細胞などが100%生きたまま別の部位で生着し,その機能を発現するようになるのも夢ではない。

【文献】


1) Koshima I, et al:Clin Plast Surg. 2010;37(4): 683-9.

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