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食道癌の根治的切除術後の縦隔リンパ節再発に対する救済治療【最適な線量は60Gy程度と考えてよいと思われる】

No.4827 (2016年10月29日発行) P.61

大屋夏生 (熊本大学医学部放射線治療科教授)

神宮啓一 (東北大学大学院医学系研究科放射線腫瘍学分野教授)

登録日: 2016-10-27

最終更新日: 2016-10-25

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  • 食道癌の根治的切除術後の縦隔リンパ節再発に対する救済治療については,いまだ標準的な方法は未確立です。状況に応じて,(化学)放射線療法も適応になると思われます。適応の有無についての考え方,照射範囲,線量など留意すべき点を教えて下さい。東北大学・神宮啓一先生にお願いします。

    【質問者】

    大屋夏生 熊本大学医学部放射線治療科教授


    【回答】

    食道癌の根治切除術後のリンパ節転移再発に対して大きな前向き比較試験はこれまでありません。しかし,放射線化学療法(主にCDDP+5-FU併用)が標準的に行われるようになってきています。『食道癌診断・治療ガイドライン』(2012年版)では「長期生存症例も少なからずあることも明らかであり,積極的な治療が望まれる」との表現にとどまっています1)。2000年代後半以降の報告をみると,それ以前よりも著明に改善してきています。吻合部の再発に比べ,リンパ節転移再発のみの症例は予後が良好であり,特に転移リンパ節数が少ない症例では約40%の長期生存が期待できる結果が出ています2)。リンパ節転移の腫瘍径も予後に関係していると考えられます。近年の治療成績の改善は画像診断の発展による早期発見例の増加によるところも大きいと思われます。

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