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どうなる?医療機関の消費税問題 軽減税率か非課税還付か、それとも…? 【まとめてみました】

No.4761 (2015年07月25日発行) P.10

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

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  • 2018年4月の消費税率10%への引上げを控え、医療機関にとって控除対象外消費税問題の抜本的解決は喫緊の課題といえる。控除対象外消費税は設備投資の多い大病院ほど負担が大きく、国立大学附属病院長会議は6月22日に、14年度の全体の決算見込みを84億円の赤字と発表。消費税率引上げに伴う補塡不足で54億円が「持ち出し」という試算だ。

    今後は、15年度与党税制改正大綱が医療機関の消費税のあり方について「関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ適切な措置を講ずる」としており、課税転換に向けた検討が進む見込みだ。そこでポイントを改めて解説する。

    課税には補塡分の「見える化」が必要

    消費税は1989年に導入された「間接税」。本来は消費者(患者)が負担し、事業者(医療機関)が納めるが、医療は非課税のため患者は負担せずに医療機関が負担する。控除対象外消費税と呼ばれるのは、自由診療分は患者から消費税を徴収でき、仕入れにかかる消費税は控除できるからだ(図)。

    これを踏まえ、厚生労働省は消費税導入以来、診療報酬で医療機関の負担分を手当してきた。89年が0.76%、97年の税率5%引上げ時は0.77%、2014年度には1.36%、計2.89%を診療報酬に上乗せしている形だ。しかし消費税の課税対象は、医薬品や医療材料、医療機器だけでなく水道光熱費など多岐に渡り、医療機関によっても負担が異なるため、一律の診療報酬での過不足ない補填は現実的に不可能。そのため「損税」解消に向けて課税転換などが求められているが、課税化には過去の上乗せ分をいったん「引き剥がし」、本来の診療報酬に対し課税するというプロセスが必要になる。

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