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癒着性腸閉塞の保存的治療と外科治療

No.4712 (2014年08月16日発行) P.59

赤木由人 (久留米大学外科学講座消化器外科大腸グループ主任教授)

登録日: 2014-08-16

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

癒着性腸閉塞(イレウス)は,腸管の血行不全を伴わない単純性(閉塞性)イレウスの1つで,日常臨床で遭遇する機会の多い疾患です。大部分は保存的治療で軽快しますが,手術を必要とする症例も少なからずあります。しかしながら,保存的治療法や外科治療へのタイミングなどに関して定まったものはなく,しばしば苦慮します。
現在行っておられる保存的治療(抗菌薬や減圧チューブ使用の有無など)や外科治療の必要性の判断基準について,久留米大学・赤木由人先生に。
【質問者】
上田貴威:大分大学医学部附属地域医療学センター外科分野

【A】

癒着性腸閉塞で注意すべきは絞扼性イレウスとの鑑別です。開腹手術の既往歴や腹部手術創があるからといって,診断をおろそかにしてはなりません。本病態に対する治療はまず保存的治療ですが,保存的に十分であるか,手術するべきかは,判断する決定的な所見がないため悩むところです。
保存的治療で改善に3日以上要した症例は再発率が高いとの報告があります。一方で外科治療が施行された腸閉塞の患者では,年数とともに再発の頻度が高くなると言われ,若年者,塊状癒着,術後合併症が再発の危険因子とも言われます。
腸閉塞を保存的に観察する場合,脱水,循環動態の改善,腸管内減圧を念頭に置きます。腸閉塞の初期輸液は嘔吐で損失したり腸管内にうっ滞した水分の補充が目的です。続いて経鼻的チューブを用いて腸管内減圧を行います。画像による腸管拡張の程度から閉塞起点の部位を推定し,short tube(胃管)かlong tube(イレウス管)を選択し挿入します。すなわち,ニボー像やケルクリング像が多くみられるような場合は遠位の腸管に原因があると考えられるので,long tubeを用います。また,short tube挿入後に改善がみられない場合には,素早くlong tubeに替えます。
循環血漿量や尿量の確保ができたら,不感蒸泄とチューブ排液量を補いつつ,電解質の補正を行います。腸閉塞では腸内細菌の増殖,腸管壁の過伸展による粘膜の血流障害などからbacterial translocationが引き起こされるため,予防的に抗菌薬が使用されます。抗菌薬の投与は必ずしも必要とは思いませんが,検査所見や臨床所見から,重症化する前に投与を検討することは必要です。プロスタグランジン製剤などの蠕動促進薬は,腸管内減圧後も腸管麻痺が遷延する場合に使用します。そのほかの薬剤としては,腸管運動亢進や腸管血流増加を期待して,溶解した大建中湯をチューブから投与します。
しかし,保存的治療は漫然と続けることは避け,外科的治療への移行のタイミングは全身状態と減圧チューブからの排液量で決定します。多くの症例はチューブ挿入後3日程度で排液量が減少します。排液量減少後はチューブ先端のバルーンを縮小させ,さらに2日間ほど観察し,排液量が200mL以下であればチューブを抜去します。排液量が増加したりチューブの抜去を躊躇する場合はさらに観察し,挿入後1週間でも改善しない場合は手術の適応と考えています。もちろん,臨床所見や検査所見から絞扼が疑われたり,腸管拡張の持続,強い狭窄があれば躊躇せずに手術を行います。

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