株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

毛染めによるアレルギー性接触皮膚炎のパッチテスト

No.4703 (2014年06月14日発行) P.62

関東裕美 (東邦大学医療センター大森病院スキンへルスセンター臨床教授)

登録日: 2014-06-14

最終更新日: 2016-10-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【Q】

当院では,毛染めによるアレルギー性接触皮膚炎に可能な限りパッチテストを実施します。今までは使用毛染めのオープンパッチテストが陰性でも,主剤パラフェニレンジアミン(para-phenylenediamine:PPD)は陽性で,原因が確認できました。ところが,最近,毛染めが原因と強く疑われても,主剤PPD陰性の例が増加したようです。下記を東邦大学・関東裕美先生に。
(1)貴施設でも,主剤PPDの陽性率は減少していますか。その場合,パッチテスト試薬は何を貼布しますか。また,PPD陽性例では,パラ化合物の塩酸プロカイン,アミノ安息香酸エチルなどのエステル型局所麻酔薬,アゾ色素,パラベンなどと交差反応を示す症例がありましたが,PPD以外が原因の場合,どう指導すべきでしょうか。
(2)毛染めのパッチテストを行う際に,同時にパッチテストをすべき試薬の名称を。
(3)毛染めのアレルギー性接触皮膚炎例に,当院では非ジアミン系染毛剤としてナチュリエ ヘアカラーN(アクセーヌ),マロン(シュワルツコフ ヘンケル)またはヘアマニキュアを勧めていますが,どのような製品指導をされていますか。
【質問者】
畑 三恵子:髙野医科クリニック院長(日本医科大学皮膚科連携教授)

【A】

[1]PPD陰性となる原因
毛染めによる接触皮膚炎と診断した症例で主剤であるPPD陰性の症例が増加しているかどうかというご質問ですが,染毛剤皮膚炎の場合,原因が明確と考え,パッチテスト実施を希望しないことが多く,比較検討するパッチテスト実施症例が十分ではありません。実際,毛染めによる接触皮膚炎なのにPPD陰性になるのは,どのような原因によるのか考えてみます。
頭皮の経皮吸収は腕の3.5倍であると言われていますから,腕や背で実施するパッチテストでPPD陽性になるためには,PPD感作が十分成立した症例でないと再現できない可能性があります。また,最近の毛染めはPPDより感作性が低い類似の芳香族アミン(トルエン-2,5-ジアミン,アミノフェノールなど)を配合調整してPPD含有量を減らし,かぶれにくくした毛染めが多いようですから,アミノフェノールが原因物質であるとPPDのパッチテストのみでは原因成分確認ができないことになります。当科で染毛剤による接触皮膚炎症候群を生じた重症例でPPDよりもアミノフェノール感作が強かった症例がありました。
さらに,稀なケースでしょうが,他の含有成分,香料や防腐剤,界面活性剤や溶剤(プロピレングリコールやイソプロピルアルコール5~10%),2液(過酸化水素水5~6%)などが原因である可能性も否定はできません。

[2]パッチテストの実施法
種々の可能性を否定するために,当科では染毛剤1液,2液を塗布するだけのオープンテストと1%PPD閉鎖貼布に加えて日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会のスタンダードアレルゲン,さらに毛染め関連アレルゲンを同時に貼布しています(Brial社のHairdressingシリーズから選択:海外技術交易株式会社より購入可能)。

[3]使用可能な製品と日常生活上の注意点
使用可能な毛染めを探したいとの希望でパッチテストを実施する症例もあるので,交差反応を確認して適切に生活指導できるようにしています。
交差反応をパッチテストで確認できないとしても,PPD強陽性の場合,日常生活で注意すべき製品として,美白剤のハイドロキノン,ゴム添加剤(N-isopropyl-N´-phenyl-p-phenylenediamine),サンスクリーン(パラアミノ安息香酸),衣料品,眼鏡先セルに使われている可能性があるアゾ染料などがあります。他に局所麻酔薬のプロカイン,ベンゾカインも交差感作するとされており,市販外用薬や消毒薬には含有されている製品もありますので,成分確認するように指導します。
毛染め関連アレルゲンのパッチテストでピロガロール陰性ならば,非酸化染毛剤である(1)マロンマインドカラー(シュワルツコフ ヘンケル),(2)ネオビーマン(共同製薬所),(3)アクセーヌ ナチュリエ ヘアカラーN(アクセーヌ)などは使用可能です。酸化染毛剤と違って脱色剤(過酸化水素)を使用しないので,濃い黒や褐色にしか染められない欠点はありますが,刺激やアレルギー反応は弱くなります。
さらに,毛を変性するのではなく,色素で髪の毛表面に色をつけるだけのヘアマニキュアならば,持続時間は短いがより安全であろうと,質問者の先生と同様に私たちも指導しています。

関連記事・論文

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top