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妊娠中のセフェム系抗菌薬・ジアゼパムは安全?

No.4776 (2015年11月07日発行) P.67

村島温子 (国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター主任副センター長/ 妊娠と薬情報センター長)

登録日: 2015-11-07

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

(1)妊婦または妊娠している可能性のある女性に対しセフェム系抗菌薬を使用することは安全性の面で問題はないのでしょうか。
(2) 上記のような女性に対するジアゼパムの投与は妊娠何週目(月経が始まってから何日目)までなら安全と考えてよいですか。 (東京都 N)

【A】

(1)妊娠中のセフェム系抗菌薬投与の
安全性
セフェム系抗菌薬には多数の種類の薬剤がありますが,妊娠中の安全性についてはセフェム系としてまとめて評価しています。大規模な疫学研究があり,セフェム系の安全性は高く,ペニシリンとともに妊娠中の第一選択薬となっています。患者さんが不安そうでしたら「妊娠と薬情報センター」への相談をお勧め下さい。
(2)ジアゼパムの投与が可能な妊娠期間
デンマークで行われた6万人以上の症例対照研究(文献1) で,ジアゼパムと先天異常の関連は認められていません。また,ベンゾジアゼピン系薬剤全体としても先天異常の発生リスクは上がるものではないと考えられます。ジアゼパムのようなリスクがないと考えられる薬剤は妊娠のどの時期でも使用は可能です。ジアゼパムを含めベンゾジアゼピン系薬剤を出産間際に大量に服用している母親から生まれた新生児においては,出生後の呼吸抑制や新生児薬物離脱症候群に気をつける必要があります。

妊娠中に薬剤や放射線に曝露されなくても15%,3%前後の確率で流産と先天異常が発生すると考えられています。したがって,妊娠中に薬剤を使用する場合には,たとえ安全な薬剤であっても必須なものかをよく考え,処方する場合には流産と先天異常の自然発生率を説明しておくことが肝要です。

【文献】


1) Czeizel A, et al:Clin Ther. 1988;10(6):725-39.

【参考】

▼ 中島 研:薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳. 第2版. 伊藤真也, 他, 編. 南山堂, 2014, p134-53.
▼ 妊娠と薬情報センター.
[http://www.ncchd.go.jp/kusuri/]
▼ 伊藤直樹:薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳. 第2版. 伊藤真也, 他, 編. 南山堂, 2014, p428-37.

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