株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

急性中耳炎の処置における鼓膜切開の必要性の有無

No.4738 (2015年02月14日発行) P.67

峯田周幸 (浜松医科大学耳鼻咽喉科頭頸部外科学教授)

登録日: 2015-02-14

最終更新日: 2016-10-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【Q】

急性中耳炎の場合(特に乳幼児)に,鼓膜切開は必要か。
乳幼児は,切開を受けると,それがトラウマになり,次から大泣きしてしまう。
当院では,鼓膜切開は年間1~2名以下しかしていないが,切開しなくてもすぐに治る。鼓膜切開の意義について。 (東京都 I)

【A】

急性中耳炎は中耳の炎症と膿の貯留が病態であり,鼓膜切開による排膿は菌量を減らし病原性を下げ抗菌薬を効果的に使用する観点から,病態の治癒促進には有効な治療と思う。
しかし,そのエビデンスの報告が乏しいのも事実である。「小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版」(文献1)によると,鼓膜切開は,軽症例では不要とし,中等症例では初期治療で改善しない場合に治療選択するとされている。耳痛や38.5℃を超えるような発熱を起こし,鼓膜に著明な膨隆を示す重症例では,鼓膜切開を推奨している。
排膿すると,症状が劇的に改善することは日常よく経験する。最終的な治療成績は同じでも,早期の改善率は鼓膜切開例のほうがまさるし,再燃・遷延しにくい点も評価してよいと思う。またわが国は,起炎菌としてPRSPやBLNARが多く,抗菌薬が反応しにくいことも考慮しなければならない。今ではレーザーで一瞬にして切開する方法もある。鼓膜切開をして症状が著しく改善すれば,トラウマにはなりにくいのではないか。

【文献】


1) 日本耳科学会, 他, 編:小児急性中耳炎診療ガイドライン 2013年版. 金原出版.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top