【Q】
普段は意識しないが静かな環境になると聞こえてくる持続的なかつ器質的な異常のない(健常人にも起こりうる)耳鳴の実際の発症頻度や対処法(治療法),異常な耳鳴との鑑別方法について。また慢性的に中耳炎を反復した病歴との関係について。 (兵庫県 K)【A】
無響室に入るとほとんどの人(91%)が「シーン」という音を自覚する(文献1)。聴覚系は,外部から音が入ってこない状態でも常に活動し,電位を脳に送っている。また,外有毛細胞は自動運動をしており機械的な音を発生している。このように生理的に発生し,電位や機械音を周囲の音がない環境で聞くことができる耳鳴は生理的な耳鳴あるいは無響室性耳鳴と呼ばれている。
1) 朝隈真一郎, 他:耳鼻と臨. 1985;31(1):1-6.
2) 増野博康, 他:Audiol Jpn. 1991;34(5):527 -8.
3) 坂田俊文, 他:Audiol Jpn. 2009;52(4):220-6.
4) 荒木謙太郎, 他:Audiol Jpn. 2011;54(3):214-21.