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平均在院日数を巡る議論は続く [お茶の水だより]

No.4787 (2016年01月23日発行) P.9

登録日: 2016-01-23

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▼次期診療報酬改定を巡る議論が大詰めを迎えている。前回に続き大きな争点は7対1病床の適正化だ。重症患者割合を示す「重症度、医療・看護必要度」や自宅等退院患者割合の見直し、病棟群で一般病棟入院基本料の届出を認める方向で検討が進んでいる。
▼2月の答申に向け、これまでの議論を整理した『現時点の骨子』が13日の中医協で了承された。会合では幸野庄司委員(健保連)が「平均在院日数」への言及がないことを問題視。平均在院日数が長い病院は「診療密度が低い」との厚労省の調査結果を踏まえ、さらなる短縮を強く求めた。
▼7対1の平均在院日数は18日以内だが、社会保障・税一体改革でもその短縮が謳われている。激しい議論の応酬の末、今回の骨子には盛り込まれない形となったが、18日は長いのか。かつての入院のイメージが残る患者の目線に立てば、中川俊男委員(日医)が指摘するように「重症で入院してすぐに退院の話をされる」との印象を持っているのが実情だろう。
▼しかし、平均在院日数短縮を求める声は医療界からも上がっている。日本慢性期医療協会の武久洋三会長は「日本に寝たきりが多いのは急性期の平均在院日数が長いから」と主張している。同協会の調査で、急性期の入院期間が1カ月超の患者は1カ月未満の患者に比べリハビリテーションによるADL改善効果が小さく、後方病院での入院期間も長かったことから、早期リハビリを可能にするため急性期の平均在院日数短縮を強調する。
▼次期改定では据え置きの公算が高いが、高齢者が増加するわが国においては、保険財政や地域医療といった大局的な見方に加え、患者心理やリハビリの効果など複眼的に平均在院日数を捉え、エビデンスに基づく議論を継続していく必要がある。

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