株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

消費者直販型の遺伝子検査に「単一基準の規制を」 [日本医師会]

No.4808 (2016年06月18日発行) P.14

登録日: 2016-06-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

日本医師会の小森貴常任理事は8日の定例会見で、消費者直販型(DTC)遺伝子検査(用語解説)について、「臨床的妥当性の低さから世界的に販売されなくなっているが、わが国では何の規制もなしに販売され、現在も市場を拡大しつつある」と懸念を表明した。
小森氏の発言は、日医会内の「生命倫理懇談会」(座長=高久史麿日本医学会会長)が5月にとりまとめた答申に基づくもの。小森氏は、市場拡大の背景として、「医療分野の検査は厚生労働省、ビジネス分野の検査は経済産業省という、世界唯一の分離所掌がある」と指摘。遺伝学的検査の所掌を厚労省に一元化し、単一基準による規制を導入するよう求めた。
同日の会見には高久氏も出席し、「日本と同様に規制のなかった米国でも食品医薬品局(FDA)が禁止令を出し、業者はほとんどいなくなった」と述べ、国内の現状を問題視した。
遺伝子診断・治療の展開については、日医「学術推進会議」も今月まとめた報告書で取り上げており、ゲノム情報という高度な機微情報を取り扱う専門的人材の大幅な育成が重要課題と指摘。(1)遺伝学的検査の品質・精度の確保、(2)遺伝カウンセリング体制等の整備、(3)遺伝情報に基づく差別の防止、(4)データの管理と二次利用─を喫緊の課題として挙げている。


●用語解説
【DTC遺伝子検査】
消費者から採取された検体のゲノム情報から遺伝子型による体質や疾患リスク等の確率情報を提供するサービス。DTCはDirect To Consumerの略。多くは多因子疾患を対象としており、調べる遺伝子型の箇所や数によって予測評価結果にバラツキが出ることから、日本医学会などが検査の質に懸念を示してきた。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top