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医師不足、2033年には解消か - 厚労省が医師の需給推計を示す [医師需給分科会]

No.4798 (2016年04月09日発行) P.8

登録日: 2016-04-09

最終更新日: 2016-11-30

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【概要】厚生労働省は3月31日、医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会に2040年までの医師の需給推計を提示した。今後の医学部定員を現在の9262人で継続した場合、遅くとも2033年頃には医師の需給は均衡し、その後、人口減少に伴い「供給過剰」に転じるとしている。

厚労省は、精神病床の入院受療率、外来医療の受療率、労働時間について幅を持って推計し、今後予測される医師需要の大きさに応じて上位・中位・下位の3パターンの結果を示している(図1)。
供給については、医学部定員が2016年度の9262人のまま継続すると仮定して推計。需要については、女性医師、高齢医師、研修医の働き方等を考慮し、30~50代の医師を1とした場合に、女性医師0.8、高齢医師0.8、研修医1年目0.3、研修医2年目0.5として推計を行っている。
その結果、医師の需要が最も大きくなる組み合わせの「上位推計」では、2033年頃に約32万人で均衡、「中位推計」では2024年頃に約30万人で均衡することが示された。いずれのパターンでも医師の需要は、2040年までに人口減少に伴って減少。上位推計の場合でも、2040年には約1.8万人程度が「供給過剰」になる見込みとなっている。

■推計は医学部定員議論のたたき台に
今回提示された推計は今後、同分科会が医学部定員の増減を検討する際の「たたき台」となる。ただ、検討会の委員からは「数値の仮定に相当な無理がある」などの批判的な指摘も出た。
これに対し同省の神田裕二医政局長は、「医学部定員の議論をするには、医師はマクロでは足りているが特定の診療科・地域で足りないという両面を踏まえる必要がある」と述べ、今回の推計が医学部定員の目標値を示すものではないと強調した。推計は各都道府県の地域医療構想などを踏まえ、修正が加えられる。

■偏在対策、就業・開設制限も論点に
厚労省は同日の会合で、医師偏在対策に向けた論点(図2)も提示した。同分科会は今月をメドに中間とりまとめを目指し、議論を進める。


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