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■NEWS 医師手当の増額支援に保険者からの拠出金充当を提案―偏在対策で医療保険部会

No.5255 (2025年01月11日発行) P.71

登録日: 2024-12-20

最終更新日: 2024-12-20

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社会保障審議会医療保険部会は1219日、医師の偏在是正対策について議論した。厚生労働省はこの中で、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」の医師の手当の増額支援の財源に保険者からの拠出金を充てる案を提示。保険者の委員は仮に実施することになった場合には、限定的な対応にとどめて現役世代の保険料上昇を抑制することや、効果検証を行うための会議体を設置することなどを求めた。

厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」が18日とりまとめた報告書は、(1)へき地以外の医師不足が深刻な地域を重点支援区域に選定し、経済的インセンティブを導入する、(2)そのうち医師の手当の増額支援の財源は、保険者から広く負担を求め、給付費の中で一体的にとらえる―ことなどを提言した。

これを受けて厚労省は、重点支援区域内で都道府県が選定した医療機関を対象に、当該医療機関の派遣・従事医師の手当増額を支援する案を提示した。その財源には保険者からの拠出金を充当。本来は診療報酬で賄われる人件費を代替するとの考えに立ち、各保険者の負担額は、把握できる直近の年度の診療報酬支払実績に応じて按分し、一般保険料として徴収する考えを打ち出した。通常の給付費と同様に保険者間の財政調整(前期高齢者財政調整、後期高齢者支援金)や公費負担も適用。実施時期は国民健康保険等の保険料設定の考え方や、システム改修期間を考慮して今後検討するとした。

■臨床研修後3年以上の病院での保険診療経験を管理者要件に設定

保険診療の質向上の観点から、健康保険法上で新たに保険医療機関に配置を求める管理者の要件案も提示した。具体的には2年間の臨床研修修了後、保険医療機関(病院に限る)で3年以上の保険医従事経験があることと規定。また、従事者が診療報酬の請求を適正に行う責務等を遵守するよう、保険医療機関内の体制を整備することなどを管理者の責務とし、管理者が相当の注意・監督を尽くしていなかったために診療報酬の不正請求等が行われた場合は、厚生労働大臣による保険医療機関の指定取り消し、または管理者の保険医の登録取り消しを可能とする罰則を設ける。

厚労省は部会の議論を踏まえて最終調整を行い、その結果を政府が年内にとりまとめ予定の「医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージ」に反映させる。

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