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悪性脳腫瘍へのウイルス療法で治験開始 [東大医科研]

No.4731 (2014年12月27日発行) P.6

登録日: 2014-12-27

最終更新日: 2016-11-18

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東大医科研附属病院は18日、会見を開き、癌のウイルス療法としては国内初となる第Ⅱ相医師主導治験を開始すると発表した。対象疾患は、脳腫瘍の中で最も悪性度が高い膠芽腫のうち、現在有効な治療法が確立されていない腫瘍摘出後の残存例または再発例。標準治療にウイルス療法を上乗せすることによる生存期間の延長効果を評価する。
治験では、定位脳手術により腫瘍内に治療用ウイルスを最大6回まで投与。1回目と2回目は5~14日、3回目以降は4週間の間隔を置いて投与する。被験者数は30人の予定で、同日から募集を始めた。

●有効性確認で3年後には医薬品化も
治験に用いるウイルス「G47Δ」は、強力な殺細胞作用を持つ単純ヘルペスウイルスを変異させ、癌細胞内だけで増殖する能力と抗腫瘍免疫刺激を高めたもの。非臨床ではあらゆる固形癌への有効性が確認されており、癌幹細胞も破壊することから放射線や抗癌剤が効かない癌の根治も可能とされている。
会見に出席した同病院脳腫瘍外科の藤堂具紀教授は、「治験が有効性が確認された場合、早ければ3年後にはG47Δをアカデミア発の革新的医薬品として承認申請できるだろう」と期待を示した。


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