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女性医師が活躍する環境整備を議論 - 医学部入学者の3分の1が女性に [「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」が発足]

No.4712 (2014年08月16日発行) P.10

登録日: 2014-08-16

最終更新日: 2016-11-17

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【概要】女性医師が働き続けやすい環境整備に向けて、厚生労働省は「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」を設置し、8日に初会合を開いた。


懇談会には、女性医師・歯科医師10人を含めた12人の構成員が参加。ライフステージに応じて女性医師が活躍できる環境整備のあり方について検討を行う。ただ、制度改正の議論までは踏み込まず、女性医師支援の成功事例集を報告書としてまとめる。
厚労省によると、全医師に占める女性医師の割合は増加傾向にあり、2012年時点で19.7%。特に若年層で増加しており、現在は医学部入学者に占める女性医師の割合が約3分の1となっている。
会議の冒頭、田村憲久厚労相は、女性の活躍が安倍政権の成長戦略で重要な柱に位置づけられていることを説明した上で「医師の不足や偏在がある中で、女性医師の活躍は日本の医療の発展に欠かせない」と強調し、懇談会の議論に期待を示した。

●柔軟な勤務体系の有効性を紹介
会議では、木戸道子構成員(日本赤十字医療センター)と片岡仁美構成員(岡山大)が、自施設での女性医師支援策を紹介した。
日赤では、家族と夕食をとってから出勤できるように、夜8時から翌朝9時まで勤務する勤務体系を導入。日中の時間で家事育児などに取り組めるだけでなく、金曜日と月曜日に夜勤勤務を選択すれば、土日を含めて、まとまったオフが取得可能なため、介護による離職も防止できるという。
岡山大は、復職希望者の希望に応じて、オーダーメイドで勤務日数、勤務時間を設定できる勤務体系を確立。さらに、復帰前のトレーニングコースの開催や病児保育開設などの復職支援制度導入により、同大では医師全体の女性医師の割合が、制度導入前の18.4%から26.1%(2013年)に増加した。
厚労省は、医学部生の意見を聞くため、8月24日に国立国際医療研究センター(東京都)でシンポジウムも開催。懇談会やシンポジウムでの意見を踏まえ、女性医師支援の成功事例集を今年中にまとめて、全国の医療機関に周知する方針。

【記者の眼】女性医師が働きやすい職場をつくることは、男性医師が働きやすい職場をつくることにもつながる。介護や育児のための休業や短時間勤務など、それぞれの医師のライフステージに応じた勤務環境整備の促進に期待したい。(N)

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