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■NEWS 薬価改定財源も活用した大幅なプラス改定を要望―中医協で診療側

No.5199 (2023年12月16日発行) P.71

登録日: 2023-12-11

最終更新日: 2023-12-11

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中央社会保険医療協議会が128日開かれ、各側委員から2024年度診療報酬改定に関する意見が表明された。診療側が薬価引き下げ財源も活用した大幅なプラス改定を要望したのに対し、支払側は診療報酬の引き上げに反対するとともに、薬価引き下げ分の国民への還元を要求。総会は次回以降、次期改定に関する中医協としての意見をまとめ、武見敬三厚生労働大臣に提出する予定。しかし各側の意見の隔たりは大きく、取りまとめの行方は不透明な情勢だ。

■支払側、「安易な引き上げを行う環境にない」

意見の中で支払側は、医療費が増加基調にあり医療保険制度の持続可能性が不安視されることや、医療経済実態調査の結果から医療機関、薬局の経営状況が総じて堅調にあるとみられることなどから、「患者の負担増や保険料の上昇に直結する安易な診療報酬の引き上げを行う環境にはない」と診療報酬引き上げへの反対を表明。薬価・材料価格改定にも言及し、「市場実勢価格の低下に伴う引き下げ分を国民に還元すべきだ」と主張した。

これに対して診療側は、新型コロナ関係補助金を除いた22年度の損益率では一般病院の7割弱、一般診療所の3割弱が赤字であることを指摘。物価高騰や賃金の上昇が今後も続き、新型コロナ関係の診療報酬上の特例も廃止されることになれば、「経営基盤が脆弱な診療所では倒産が相次ぐ恐れがある」と強い危機感を表明した。

その上で24年度改定については、「従来以上の大幅なプラス改定が求められる」と主張。さらに物価高騰や賃金上昇で医療機関の経営が圧迫される現下の異例の状況を乗り切るには、薬価改定で生じた財源の充当も含め、診療報酬本体の引き上げのための十分な財源を確保する必要があると訴えた。

なお8日には、医療従事者の処遇改善についての議論が行われ、診療報酬で対応する場合の技術的な課題の分析・検証を診療報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」で進めることを決めた。

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