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妊娠高血圧症候群[私の治療]

No.5189 (2023年10月07日発行) P.46

菊地範彦 (信州大学医学部産科婦人科学教室講師)

登録日: 2023-10-05

最終更新日: 2023-10-03

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  • 妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)は妊娠中に高血圧を合併した状態であり,妊娠高血圧症(gestational hypertension:GH),高血圧合併妊娠(chronic hypertension:CH),妊娠高血圧腎症(preeclampsia:PE),加重型妊娠高血圧腎症(superimposed preeclampsia:SPE)の総称である。

    ▶診断のポイント

    高血圧の発症時期,高血圧以外の臓器障害(蛋白尿,基礎疾患のない肝機能障害,進行性の腎障害,脳卒中,神経障害,血液凝固障害,子宮胎盤機能不全)の状況により,病型分類を行う。高血圧は収縮期血圧140mmHg以上,または拡張期血圧90mmHg以上の場合に診断し,収縮期血圧160mmHg以上,または拡張期血圧110mmHg以上のいずれかの場合に重症と診断する。PE,SPEは発症時期により,早発型(妊娠34週未満に発症)と遅発型(妊娠34週以降に発症)に分類する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    早期診断が重要である。健診以外での妊婦自身による健康管理が必要であり,患者教育が重要となる。妊婦健診時に収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧80mmHg以上の症例,高血圧や糖尿病などの合併症を有する症例,高年妊娠(40歳以上),肥満,多胎妊娠では,健診間隔を短くしたり,自宅血圧測定を指示したりすることで早期発見に努める。

    自宅血圧が収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上(非重症域高血圧)で,かつ新規の頭痛などの神経症状や右季肋部・心窩部痛を伴う場合や,重症域高血圧を認める場合には,病院へ連絡するよう徹底する。

    PE,SPE,重症のGHやCHの場合には入院管理とする。入院後は週に2回は採血を行い,臓器障害の出現や悪化に注意する。また,常位胎盤早期剝離の発症にも注意が必要である。

    重症域高血圧が持続する場合には,速やかに降圧治療を開始する。降圧の目安としては,収縮期血圧140mmHg前後,拡張期血圧90mmHg前後とするが,子宮胎盤機能不全のある症例では,血圧低下による胎児機能不全のリスクがあり,特に静脈注射での降圧開始時には母体のモニタリングのみでなく,胎児のモニタリングも行う。

    PE,SPE,および重症のGHやCHの場合には,入院で厳重管理のもと,妊娠37週まで妊娠継続をめざす。非重症のGHやCHの場合には,PE,SPE,および重症への移行に十分に注意しながら,妊娠40週をめどに妊娠帰結を考慮する。

    著しい母体の臓器障害,子宮胎盤機能不全,治療抵抗性の重症域高血圧を認める場合には,妊娠週数に関係なく妊娠帰結を考慮する。

    分娩後も産褥期に重症域高血圧や母体の臓器障害が発症する症例もあるので,分娩後1週間程度,特に産後48時間は厳重な管理を行う。

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