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【識者の眼】「Earth Day OSAKA 2023に参加して」邉見公雄

No.5170 (2023年05月27日発行) P.64

邉見公雄 (全国公私病院連盟会長)

登録日: 2023-05-17

最終更新日: 2023-05-17

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4月21、22日の世界アースデイの前日に大阪商工会議所国際ホールで各界関係者が参加して「Earth Day OSAKA 2023」が開催された。主催は元厚生労働事務次官の二川一男氏が代表理事を務める炭酸カルシウムコンポジット容器認証機構である。プラスチックゼロを目指すということで病院も多くのプラスチック製品を使う関係上、私も理事として参加している。「歯科医師会も歯ブラシなどで他事ではない」という大阪府歯科医師会長、深田拓司先生のお勧めで。

当日は4人の講師から地球環境悪化の危機的状況や世界での取り組みなどが語られた。山本良一東京大学名誉教授からは太陽熱を一番多く浴びる海水面に影響が大きく、それにより海流が変わり漁業に打撃を与えたり北極やグリーンランドの氷が解けて海水面が上昇、太平洋の島しょ国は水没、消失存亡の危機を迎えている。白熊さんだけの問題ではない。地球温暖化の地獄、産業革命以来の気温1.5℃上昇、このままではこの星は危ないと。報道界を代表し日本経済新聞社の上田敬氏からは、各国の取り組みや先進事例を。2025年大阪・関西万博の広報・機運醸成を担当する堺井啓公氏からはSDGsを目指しゴミゼロ、食品ロスゼロ、ファッションロスゼロをめざす万博とし、東京オリンピック・パラリンピックの食品ロスなどを教訓、反面教師にと。因みに「テーマの“生命(いのち)輝く未来社会のデザイン”は先生の昭和末期からの講演テーマを貰いましたよ」とは万博委員のO先生からの打ち明け話。私は「喜んで」と即答。マスコットのミャクミャクは動脈、静脈で生命が脈々とつながり、この星も脈々と在り続けられる様に!! との趣旨だとか。せんとくんと同じように少し怖いという人もいるが。最後にイオンの環境・社会貢献部長の鈴木隆博氏からは、56万人の社員全員がSDGsに取り組み、会社はイオンの森やソーラー発電、直営農園などに取り組んでいるというお話を頂いた。

実は我々医療界、特に病院は注射器をはじめ医療器具のディスポ化や入院時給食の残飯などの食品ロス、感染性廃棄物などSDGsに取り組むべき課題は山積。しかし、取り組みはじめたときにコロナで二の次になってしまった。5類移行でも医療界はゼロコロナをキープしつつ、この大きな課題も並行して実行していく必要を痛感した1日となった。

宇宙船地球号の乗客あるいは乗組員かもしれない医療人に課せられた責務を全員で考えるのがアースデイである。

邉見公雄(全国公私病院連盟会長)[SDGs][食品ロス][感染性廃棄物]

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