株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

最新の唾液腺腫瘍の診断方法と現状 【18G生検針による組織診で診断率は飛躍的に向上している】

No.4819 (2016年09月03日発行) P.59

杉本 晃 (帝京大学ちば総合医療センター耳鼻咽喉科講師)

茶薗英明 (千葉大学医学部附属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科)

登録日: 2016-10-19

最終更新日: 2016-10-20

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 一般的に癌治療は確実な悪性腫瘍の診断がなされた後,その診断・特徴に応じて化学療法,放射線治療,手術治療などの治療が選択されています。しかし,頭頸部癌のひとつである耳下腺を代表とする唾液腺腫瘍では術前診断が非常に困難であるということが知られており,現在も学会などでシンポジウムが組まれるなど大きな課題となっています。この分野でご活躍されている千葉大学・茶薗英明先生に最新の唾液腺腫瘍の診断方法と現状についてご教示をお願いします。

    【質問者】

    杉本 晃 帝京大学ちば総合医療センター耳鼻咽喉科講師


    【回答】

    (1)耳下腺腫瘍の特徴
    耳下腺腫瘍は,喉頭癌,舌癌などの頭頸部悪性腫瘍と比較して取り扱いが難しいという特徴があります。

    1つ目の特徴は病理組織型の多様性です。頭頸部悪性腫瘍の90%を占める組織型は扁平上皮癌ですが,耳下腺には唾液腺導管癌,粘表皮癌,腺癌,扁平上皮癌など20種類以上の組織型があります。さらには良性,悪性の診断でさえも困難なこともあり,「病理診断医泣かせ」の臓器とも言われます。

    2つ目は顔面神経の存在です。コミュニケーションにおいて大切な表情をつくり出す顔面神経が耳下腺のほぼ真ん中を貫いており,生検,手術などあらゆる操作において顔面神経損傷のリスクを考えなければいけません。

    (2)一般的な診断方法と問題点
    一般的な耳下腺腫瘍の診断方法は,診察(問診,触診),画像検査(MRI,CT,超音波検査),生検〔穿刺吸引細胞診(fine-needle aspiration:FNA),針生検(core-needle biopsy:CNB)による組織診,切開生検による組織診〕の3つが主となります。多くの施設では,CT,MRIで画像診断を行いFNAを行っていますが,その場合の感度は60〜80%となり,良性の診断で手術をして3〜4人に1人は術後に悪性と判明することになります。この場合,再手術を行うか,治療効果が判然としない放射線治療を追加するか,厳重経過観察を行うことが一般的と考えられます。悪性腫瘍と良性腫瘍で安全域を考慮した切除ラインが異なること,手術前後に診断が変わることは患者との信頼関係においても好ましくないことなどが指摘されています。

    残り639文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連物件情報

    もっと見る

    page top