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【識者の眼】「産婦人科領域における遠隔健康医療相談活用事例①─若年女性へのアプローチ」重見大介

No.5157 (2023年02月25日発行) P.64

重見大介 (株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)

登録日: 2023-01-27

最終更新日: 2023-01-27

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近年、情報通信機器(ICT)の普及とコロナパンデミックを背景として、遠隔医療が世界的に活用・普及してきています。日本でも徐々にではありますが遠隔医療の活用事例は増加傾向にあり、時代の流れを踏まえると今後も増加していくことに疑いの余地はなく、厚生労働省が策定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は継続的に更新されています1)。遠隔医療はオンライン診療と遠隔健康医療相談に大別されますが、後者について分析された研究や事例紹介は乏しく、どのような活用方法やメリット、展望があるのか、医療従事者にとってイメージしにくいのではないでしょうか。

筆者は2018年より産婦人科領域における遠隔健康医療相談サービス2)の運営・提供に携わっており、実際の相談事例やメリット、限界などについての見解を持っています。そこで、今年一年を通じて「産婦人科領域における遠隔健康医療相談の活用事例」をシリーズとして紹介・解説してまいります。

今回は「若年女性へのアプローチ」についてです。産婦人科は女性の健康支援全般に携わっていますが、10代など若年女性にとって産婦人科受診は心身のハードルが高く、早めの情報提供や適切なタイミングでの医療介入が難しいというジレンマがあります。しかし、スマホ等からアクセスが可能な遠隔健康医療相談であれば、自宅等から好きなタイミングで相談でき、いきなり診察されるのではという恐怖感や保護者に知られたくないという不安を抱えずに済みます。

例えば、「彼氏と性行為をした際にきちんと避妊ができたか自信がない。妊娠したかどうかの判断や、妊娠できない場合の対処法を知りたい」というような若年女性からの相談は少なくありません。もちろんすぐに外来を受診されるケースもありますが、様々な事情で受診できず、結果として意図しない妊娠につながってしまうケースは多くあります。

遠隔健康医療相談を通じて、妊娠の仕組み、妊娠の確認方法、適切な避妊手段、取りうる選択肢などについて情報提供し、本人の不安に寄り添いつつ、次のアクションを後押しすることができます。こうした若年女性へのアクセシビリティは、遠隔医療に期待できる大きなメリットだと言えるでしょう。

【文献】

1)厚生労働省:オンライン診療の適切な実施に関する指針. 
https://www.mhlw.go.jp/content/000889114.pdf

2)株式会社Kids Public:産婦人科オンライン. 
https://obstetrics.jp/

重見大介(株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)[遠隔医療]

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