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【識者の眼】「コロナ抗原検査は繰り返し実施を」小倉和也

No.5151 (2023年01月14日発行) P.58

小倉和也 (NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク共同代表、医療法人はちのへファミリークリニック理事長)

登録日: 2022-12-27

最終更新日: 2022-12-27

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熱外来をしていると、新型コロナの自己検査で陰性だったが、症状が続いたり、家族が陰性だったが自分も症状が出たので受診した場合に陽性となる例が増えている。よく聞くと、一度陰性になったことでコロナではないと思って生活している人もいて、感染拡大につながっているようだ。

今年8月に発表されたピアレビュー前のデータでは、症状があって検査した場合の1回目の抗原検査と、症状がない場合に48時間あけて2回抗原検査した場合の感度はともに60%程度にとどまっていることが示された。有症状の場合、48時間あけて2度検査することで感度は93.4%に、無症状の場合は79.0%に上がることも示された1)

これを受けて米国FDAは上記のような使用法を推奨していたが2)、先月承認条件を変更し、有症状では48時間以上あけて3日間に2回、無症状では48時間以上あけて5日間に3回検査することを正式な用法とした3)。それぞれ2回、3回の陰性が出るまでは判定できないこととなり、その間は感染している可能性を考慮して行動することになる。

日本では医療用検査キット(体外診断用)と研究用キットの区別が難しいことに加え、抗原検査の解釈の仕方についても根拠に基づいた理解が周知されていないことが危惧される。NPO法人Reconnectでも周知のための動画を作成し公開しているが4)、年末年始と冬本番に感染拡大を防ぐためにも、一層の理解と適切な活用が望まれる。

【文献】

1)Soni A, et al:medRxiv. August 06, 2022. 
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.08.05.22278466v1

2)FDA:At-Home COVID-19 Antigen Tests-Take Steps to Reduce Your Risk of False Negative Results:FDA Safety Communication. August 11, 2022. 
https://www.fda.gov/medical-devices/safety-communications/home-covid-19-antigen-tests-take-steps-reduce-your-risk-false-negative-results-fda-safety

3)FDA:Revisions Related to Serial (Repeat) Testing for the EUAs of Antigen IVDs. November 1, 2022.
https://www.fda.gov/media/162799/download

4)NPO法人Reconnect新型コロナ情報チャンネル. 
https://www.youtube.com/channel/UChUnTBIBxNioAowykscCh9A

小倉和也(NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク共同代表、医療法人はちのへファミリークリニック理事長)[新型コロナウイルス感染症]

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