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【識者の眼】「連携推進法人見直しに期待する」栗谷義樹

No.5146 (2022年12月10日発行) P.60

栗谷義樹 (山形県酒田市病院機構理事長)

登録日: 2022-11-29

最終更新日: 2022-11-29

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過疎、高齢化、少子化の進む地方の地域医療構想、地域包括ケアの実現は、年々変化する地域の実情との整合性が必要で、状況に合わせた更新が欠かせない。

当地域における連携推進法人の課題のひとつに、ケアミックス病院や介護事業所の経営見通しがある。

本年の改定で一般急性期は平均在院日数、看護必要度等の基準が変更されたことから継続困難の見通しとなったため、参加病院の一般病床は地域包括ケア病床への転換を進めているが、先行きは依然不透明である。長期入院が予測される患者受け入れが困難となると、現在の地域包括ケア全体の流れが滞り、機能分化、連携が機能不全となる恐れもある。高齢化の進む当地域では年々老々介護、高齢者の独居が増えて在宅療養も次第に困難になってきている。介護施設への入所も増えているが、看取りまで可能な施設は限られており、施設でも病状が悪化すると救急搬送、入院となり、施設復帰が困難となって長期入院となるケースも同様に増えている。

国の制度策定と地方の実情にギャップ期間が生じるのは、ある程度やむをえないと思うが、なんとか採算可能なところと、必要だが時間の狭間で不採算が避けられない事業が、1つの地域の中で互いに支えあうことで、バランスよく調和していることが重要と考えている。

介護事業も当地区では2030年以降漸減していくと思われるが、関連事業所についても再編が必要となる時がいずれ必ずくる。事業の財務整理、継続に関連する仕組みとして、リートや不動産ファンド、リース会社、SPCなど様々な手法があると聞く。リートや不動産ファンド、リース会社は事業全体を引き継ぐわけではないので、たとえばSPCを連携法人が立ち上げ、株式を持つことなどについて道が開けないものかと考えている。

現在、連携推進法人制度の見直しが行われているが、ヒト・モノ・カネを一体的に運営することで効率的な地域医療を提供する仕組みという創設目的から言えば、見直しにある新類型から、今一歩踏み込んだ幅広い連携法人の事業展開にも道を開いて頂くことを期待している。

栗谷義樹(山形県酒田市病院機構理事長)[介護関連事業所]

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