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母体血を用いた新しい出生前診断 【検査精度は当初の予想よりも向上している】

No.4824 (2016年10月08日発行) P.52

成瀬勝彦  (奈良県立医科大学産婦人科学講師)

関沢明彦 (昭和大学医学部産婦人科教授)

登録日: 2016-10-07

最終更新日: 2016-10-11

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  • わが国に母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal genetic testing:NIPT)が導入されて3年が経過します。賛否両論のある中,検査の需要は高く,受検者数は増加の一途ですが,その現状と今後の展望について,NIPTコンソーシアムの事務局長である昭和大学・関沢明彦先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    成瀬勝彦 奈良県立医科大学産婦人科学講師


    【回答】

    母体血を用いた胎児出生前検査は妊娠10週以降の母体血漿中に循環するcell-free DNAの10~15%が胎児(胎盤絨毛細胞)に由来していることを利用して行われます。次世代シークエンサーを用いてcell-free DNA 1本ずつの塩基配列を分析し,染色体ごとに由来断片数をカウントすることで,胎児の染色体の数的変化を検出します。日本では2013年4月から臨床研究としてダウン症をはじめとする3種類の常染色体数的異常の検査が開始されて約3年が経過し,その間に3万件を超える検査が行われました。受検理由の95%は高年妊娠,2.5%は染色体疾患の妊娠既往であり,検査対象は従来であれば羊水染色体検査を行っている妊婦です。検査での陽性率は1.7%,判定保留は0.3%,検査陰性率は98%で,この染色体疾患のハイリスク群においても98%の妊婦で羊水検査を回避できたことになり,羊水検査に伴う流産の防止にはつながっています。

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