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異所性妊娠[私の治療]

No.5132 (2022年09月03日発行) P.45

小林千絵 (杏林大学医学部産科婦人科学教室)

登録日: 2022-09-06

最終更新日: 2022-08-31

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  • 異所性妊娠は子宮内膜以外の場所に受精卵が着床することを言い,全妊娠の1~2%に発症する。クラミジア感染症の増加や生殖補助医療の普及により着床部位のずれが生じやすく,罹患率は増加している。異所性妊娠の着床部位の大半は卵管であり,卵管膨大部,卵管峡部,卵管采,卵管間質部の順に発生頻度が高いが,卵巣,腹膜の報告もある。また,子宮腔内ではあるが,帝王切開の増加に伴い帝王切開瘢痕部妊娠(cesarean scar pregnancy:CSP)も増加している。以前は異所性妊娠の破裂による急性腹症,出血性ショックを引き起こす妊産婦死亡の原因にもなっていたが,近年はhCG定量検査が容易となり,超音波検査の解像度も向上したことから,無症状で診断されるケースが多くなっている。

    ▶診断のポイント

    妊娠週数を把握し受診していれば無症状時に診断可能であるが,妊娠に気づかず無月経を放置し,それが異所性妊娠であった場合,突然の性器出血や下腹痛を認め,救急対応を必要とする。生殖可能年齢の女性がこれらの症状で受診した場合は妊娠の可能性を念頭に置いて診察する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    まず,問診や妊娠検査薬から妊娠の有無を判断する。特に若年や周閉経期の女性は,「まさか自分が妊娠しているわけがない」と思い込んでいる場合があるので,必要性を十分説明した上で妊娠検査薬にて確認することが望ましい。

    妊娠が判明している場合,自然妊娠か不妊治療による妊娠かを確認する。タイミング法,人工授精,体外受精など排卵日が明確ならば正確な妊娠週数を決められるが,自然妊娠は最終月経日や排卵日が不確実な場合があるため,妊娠週数は慎重に決定する。

    経腟超音波検査にて子宮腔外に明らかな胎囊が確認できれば異所性妊娠と診断できるが,胎囊が確認できない場合,「自然妊娠の極初期」「異所性妊娠」「流産」「異所性妊娠の流産」を鑑別する。その手段として血中もしくは尿中hCG値が重要である。hCG値は1500~2500IU/L以上であれば,通常は経腟超音波検査にて胎囊は観察可能なため,子宮腔内に胎囊を認めないにもかかわらずhCG値が明らかに高値であれば,密に超音波検査を行う。必要に応じてCT検査やMRI検査を追加し妊娠部位を同定する。子宮内容除去術(試験搔爬)にて絨毛組織の有無を確認することもある。hCG値は,妊娠が継続されている場合2日前後で倍加するので,判断がつかない数値であれば,経時的推移を診断の参考にする。また,生殖補助医療の普及に伴い,正所異所同時妊娠の頻度も増しているため,子宮腔内に胎囊があっても,子宮腔外,特に子宮付属器に胎囊を認めないか確認する習慣をつける。

    異所性妊娠の原因のひとつとして挙げられるクラミジア感染症は,骨盤腹膜炎の原因にもなりうるので,必要に応じてクラミジア検査を行う。

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