株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

下咽頭癌[私の治療]

No.5123 (2022年07月02日発行) P.46

小澤宏之 (慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室教授)

登録日: 2022-07-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 下咽頭粘膜に発生する悪性腫瘍で,組織学的にはほとんどが扁平上皮癌である。飲酒や喫煙が危険因子である。受診時に既にリンパ節転移や遠隔転移を生じていることが多い。近年になり上部消化管内視鏡の画質向上に伴い,早期癌の発見が増えてきている。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    嚥下時違和感,嚥下時痛,咽頭痛など非特異的な症状が多い。進行例では食事の通過障害,気道狭窄による呼吸困難,吐血などが生じうる。

    【検査所見】

    内視鏡検査で下咽頭領域を観察すると,初期病変は食道癌同様に血管不整病変として観察できる。内視鏡経由で腫瘍の生検を行い,組織診断を確定する。転移例や重複癌を有する症例が多いため,頸胸部のCTや上部消化管内視鏡による多重癌の検索を行う。遠隔転移を評価する際にはPET-CTも有用である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    下咽頭癌の治療の際には,近接している喉頭の機能について常に配慮する必要がある。

    解剖学的に下咽頭は梨状陥凹,後壁,輪状後部,食道入口部にわけられる。腫瘍の解剖学的部位と腫瘍の広がり(ステージ分類)に合わせて治療を計画する。

    残り1,526文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top