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甲状腺がんの「過剰診断」の可能性を議論 [福島国際専門家会議]

No.4823 (2016年10月01日発行) P.11

登録日: 2016-10-03

最終更新日: 2016-10-17

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世界保健機関(WHO)など国内外の放射線の専門家を招いて福島第一原発事故の健康影響を議論する「福島国際専門家会議」(日本財団主催)が9月26〜27日、福島市で開催された。5回目となる今回は甲状腺がんと検診をテーマに21人が登壇。多くの専門家が「福島は放射線量が低く、チェルノブイリとは違う」「原発事故後に見つかった甲状腺がんは過剰診断の可能性が高い」と指摘した。

福島では2011年10月より、事故当時に18歳以下だった38万人を対象に甲状腺検査を実施。これまでに135人が甲状腺がんと診断されている。
ジョン・ボイス氏(米国放射線防護審議会)は、1986年に発生したチェルノブイリ原発事故では放射線誘発の甲状腺がんが原発事故後5年から小児に発生したことを紹介し、「福島では甲状腺がんが事故後1〜2年で発症したり、放射線で汚染されていない地域からも見つかっている。これは既知のデータとは異なり、放射線の影響によるものか疑問」と指摘。現在、世界的に甲状腺がんに関して、検診の増加や精度向上によって患者数が増加する一方、死亡率は変わらない「過剰診断」が問題視されていることを紹介。「放射線の影響はまだ判断できるものではない」としながらも、これまでの科学的知見を住民に説明し、検査のあり方を今後どうすべきか議論する必要性を指摘した。

フロアからは、「過剰診断」と判断することに否定的な意見や、検診体制を縮小することに反対する意見が多数表明され、野次が飛ぶ場面も見られた。

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