株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

特集:ACSC─診療所でできる予防的介入

No.5117 (2022年05月21日発行) P.18

遠井敬大 (my CLINIC院長)

登録日: 2022-05-20

最終更新日: 2022-05-17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2005年埼玉医科大学医学部卒業。東京医科大学総合診療科にて家庭医療研修後,川崎セツルメント診療所所長・埼玉医科大学総合医療センター救急科・東京医科大学総合診療科勤務を経て2021年より現職。

1 はじめに
ACSCとはambulatory care-sensitive conditionsの略称で,「プライマリ・ケアの適切な介入により,重症化による入院を予防できる可能性のある疾患(群)」のことである。
予防医療の活動は,ヘルスメインテナンスの4領域として,①スクリーニング,②カウンセリング,③予防接種,④予防的内服,に分類される。

2 ACSCについて
ACSCは主に以下のように分類される。
・慢性疾患(慢性ACSC):効果的な管理で再燃を防ぐ。
・急性疾患(急性ACSC):早期の介入により,より深刻な進行を防ぐ。
・ワクチン接種で予防可能な疾患(ワクチン接種で予防可能なACSC):予防接種などの介入により,特定の病気の発症を最小限に抑える。
ACSCのうち,5つの疾患〔①尿路感染症/腎盂腎炎,②肺炎,③慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD),④耳・鼻・喉の感染症,⑤痙攣・てんかん〕が入院の半数を占めている。
このうち,3つ(尿路感染症/腎盂腎炎,肺炎,COPD)は高齢者に多くみられ,残りの2つ(耳・鼻・喉の感染症,痙攣・てんかん)は子どもや若者に多くみられる。
英国のデータによると,ACSCの入院のうち20歳代以下の入院は19%以下のため,回避できる入院の大半は高齢者の問題ということがわかっているが,わが国の実情とどこまで適合するかは不明である。
入院を回避するための問題点は,①システムに関する原因,②医師に関する原因,③医学的原因,④患者に関する原因,⑤社会的原因,の5つで,これらが組み合わさることで,回避可能な入院が生じてしまう。
また,ケアの継続性欠如が回避可能な入院の原因のひとつである。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる患者の受療行動の変化はACSCによる入院の頻度を増加させるかもしれない。
実際にプライマリ・ケア診療チームが行うべきACSCによる入院回避のための課題と対策を以下に挙げる。
・予測モデルと患者の社会的状況,服薬アドヒアランス,自己管理能力の評価をし,ACSCによる入院リスクの高い患者を特定する。
・定期的な服薬確認(どのような薬を,どのように飲んでいるか),見やすい服薬スケジュール,患者・介護者・医療者の間で治療計画を共有し,アドヒアランスを向上させる。
・高リスク患者の症状および治療アドヒアランスの定期的な(電話による)モニタリングを行う。
・患者および介護者の自己管理トレーニング(急激な悪化への対応,プライマリ・ケアリソースへ適宜助けを求める方法の習得)を実施する。
・既存の社会的支援システム(家族,友人,隣人)および地域資源を特定する。
・医療技術システムの向上(地域資源や外来サービスとの最新のリンク,診療所・病院間での診療記録の共有など)を図る。
・部門を超えた医師間のコミュニケーションを強化(時間外診療や入退院管理における主治医と外部医師間のコミュニケーション,診断不明な際に医師同士が容易にアドバイスしやすい環境をつくるなど)する。

伝えたいこと…
・忙しい日常診療の中で,予防医療における意味のある介入事項は1回に1つでも良いので実行することを心がける。
・ACSC対策が日常診療に埋もれないように,カルテ内に予防医療における介入項目の一覧表を作成したり,アラートを実施したりするなど習慣化を心がける。

プレミアム会員向けコンテンツです(最新の記事のみ無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

page top