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【識者の眼】「ソーシャルワーカーの教育─スーパービジョン」岡江晃児

No.5112 (2022年04月16日発行) P.65

岡江晃児 (杵築市医療介護連携課兼杵築市立山香病院・ソーシャルワーカー)

登録日: 2022-03-16

最終更新日: 2022-03-16

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日頃実践をしている中で、「専門職として患者さんのためにどこまで役に立っているのか」「今の判断は正しいのか」等、困りごとや心配事を抱えることは当然あるだろう。専門職として成長していくプロセスの中で、ソーシャルワーカーはスーパービジョンを行っている。スーパービジョンについて福山1)は、『専門職が組織内で援助・支援業務を実施するうえでのバックアップ体制であり、それを組織からの確認作業を通してなされるもの』と規定し、『管理、支持、教育という三機能を提供することにより実践家の社会化の過程を含む、専門職養成の過程である』と述べている。組織の中で専門職としての知識や技術等の教育的機能だけでなく、業務が遂行しやすいをとして考えてみよう。

教育的機能:調理方法、時短(効率)、味の追求等

管理的機能:キッチン環境(子どもが使用しやいキッチンの高さ)、人員数(親や兄弟と一緒につくったほうがいいのか)等

支持的機能:料理するモチベーション、料理する上でのストレス等

美味しい食事をつくる上で、調理方法等の知識を教えるだけでなく、料理をしやすい環境を整えたり、子どもが料理をすること自体にモチベーションが上がるようなコミュニケーションをとることも大事であり、それが、料理が上達するプロセスである。

植田2)は、『三つの機能を重複させる、あるいは使い分けることで、より効果的なスーパービジョンを行うことができる』と述べており、養成する上司・スーパーバイザーは意図的に機能を活用しなければならないし、そもそもスーパービジョンはスーパーバイザーとスーパーバイジーの関係性において成り立つため、スーパービジョン自体の意義や概要を、養成される部下・スーパーバイジーも理解していくことが重要である。

よって当院の職場においても、月1回1時間、心理的安全性が保たれた空間の面談室で個別スーパービジョン(1対1)を行う等のスーパービジョンの構造化(業務上の位置づけや形態、目標設定等)と三機能を意識しながら、専門職の教育プロセスとして実践している。

【文献】

1)福山和女:ソーシャルワークのスーパービジョン─人の理解の探求. ミネルヴァ書房, 2005.

2)植田寿之:対人援助のスーパービジョン─よりよい援助関係を築くために. 中央法規出版, 2005.

岡江晃児(杵築市医療介護連携課兼杵築市立山香病院・ソーシャルワーカー)[教育][スーパービジョン]

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