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痔瘻[私の治療]

No.5099 (2022年01月15日発行) P.42

皆川知洋 (兵庫医科大学消化器外科学講座炎症性腸疾患外科)

池内浩基 (兵庫医科大学消化器外科学講座炎症性腸疾患外科教授)

登録日: 2022-01-17

最終更新日: 2022-01-11

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  • 痔瘻とは,肛門陰窩から細菌が侵入し,肛門周囲に炎症を起こし,膿瘍を形成し,膿瘍が自然に排膿,もしくは切開排膿し,瘻孔を形成したものである1)。特殊な場合として,クローン病や潰瘍性大腸炎に合併するものがある。

    ▶診断のポイント

    直腸肛門周囲に膿瘍を形成することで,疼痛,腫脹,発赤,発熱を呈する。肛門周囲の皮下まで膿瘍が形成されていれば,視診,触診で診断は可能である。深部の場合は,CT,MRIなどの画像診断が必要となる2)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    多くは,肛門周囲膿瘍で外来受診することが多い。切開排膿などのドレナージを要するものがほとんどであり,局所麻酔で可能か,腰椎麻酔が必要かを大まかに診断する。急性期には,発熱,疼痛などの症状,白血球増多,CRP上昇などを認めることが多いが,適切に膿瘍がドレナージされると,症状や炎症反応は速やかに改善し,抗菌薬や消炎鎮痛薬の投与は不要となる場合が多い。外科的治療が主であるが,痔瘻の位置によっても治療法は異なる。

    わが国では表に示す隅越分類が広く使われており,それにより治療法を決定する3)


    クローン病の場合は複雑な痔瘻であることが多く,括約筋温存の手術を行う。

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