株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

日本脳炎ワクチンの望ましい接種間隔は?

No.5098 (2022年01月08日発行) P.51

新井 智 (国立感染症研究所感染症疫学センター主任研究官)

多屋馨子 (国立感染症研究所感染症疫学センター第三室室長)

登録日: 2022-01-10

最終更新日: 2022-01-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

日本脳炎ワクチンは標準3歳で接種開始ですが,生後6カ月からの開始が可能で優先地域を中心に6カ月からの接種開始が推奨されています。四種混合ワクチンや日本脳炎ワクチンの追加接種はそれぞれ3回目からと2回目から1年後の接種が標準ですが,それぞれ6カ月経てば接種可能です。有効性を考慮すると追加接種は標準の1年後が望ましいのか,なるべく短い間隔の6カ月が望ましいのか教えて下さい。(千葉県 K)


【回答】

【追加接種は6カ月を過ぎれば接種可能で,接種間隔の違いによる効果の差は確認されていない】

日本脳炎ワクチンの定期接種は,標準的には第1期として初回接種は3歳に達したときから4歳に達するまでの期間に6〜28日までの間隔をおいて2回接種し,初回接種終了後,おおむね1年を経過した4〜5歳までの期間に追加接種を実施する方法がとられています1)2)。追加接種を行うことでワクチン効果の持続をめざしております。一般的に不活化ワクチンは,接種後2〜4週間程度で抗体価が最大となり,その後緩やかに減少していく経過をたどると推測されます。不活化日本脳炎ワクチンは1〜4週間隔で2回接種することで,少なくとも1年間程度は抗体価の持続が確認されています(図1)2)〜5)。過去の検討では,2回接種後4カ月目と1年後の間に抗体価に大きな差が認められないことが確認されており6),3回目接種前の抗体価にかかわらず3回目を接種することでブースター効果が得られ,3回目の重要性が指摘されています6)。そのため,標準的には1年後に追加接種する方法がとられています。

海外で用いられているアジュバントを含んだ不活化日本脳炎ワクチンにおいても,4週間隔で2回接種後,1年後に1回追加接種するスケジュールを採用しています7)

【文献】

1)厚生労働省:定期接種実施要領.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000036493.html]. Accessed 2019/ 11/25.

2)厚生労働省:日本脳炎.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou20/japanese_encephalitis.html]. Accessed 2019/11/25.

3)Okada K, et al:Vaccine. 2012;30(41):5967-72.

4)Miyazaki C, et al:Clin Vaccine Immunol. 2014; 21(2):188-95.

5)Yun KW, et al:BMC Infect Dis. 2015;15:7.

6)Katsurada M:Virus. 1968;18(4):295-304.

7)Chen HL, et al:J Chin Med Assoc. 2015;78(5): 271-5.

【回答者】

新井 智*1,多屋馨子*2  国立感染症研究所感染症疫学センター *1主任研究官 *2第三室室長

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top