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【識者の眼】「新型コロナウイルスの感染拡大とワクチン接種の進捗に応じた医療需要の予測ツールの開発」和田耕治

No.5089 (2021年11月06日発行) P.50

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2021-10-21

最終更新日: 2021-10-21

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ワクチン接種が進む中で、今後の医療需要を検討する際には、ワクチンによる重症化予防などの効果を考慮する必要がある。このたび、感染者数をもとに「必要な病床数(酸素投与を必要とする患者や重症者)」といった医療需要について、①短期的(1〜4週間後)、②中期的(1〜2カ月後)に予測するツールが開発されたので報告する。試算では、地域の年代別のワクチン接種者の割合、ワクチンの効果、感染拡大のシナリオなどが考慮されている。

現段階では、2021年の冬期の流行をそれぞれの自治体で想定しながら、必要とする病床の確保ならびに、どういう段階で地域での感染対策の強化などを呼びかける必要があるかの検討に用いることができる。また、今後リバウンドが起こった際には、その後に起こりうる状況の見える化にも用いることができる。使用は自治体が想定されるが、ぜひ医療界でも今後のモニタリングをする際に活用を検討いただきたい。

本ツール、および関連資料を入手できる(https://github.com/yukifuruse1217/COVIDhealthBurden)。

こちらにはエクセルシートと説明書が示されている。また、この背景で動くコードを確認されたい方のためにコードも公開されている。作成は、古瀬祐気先生(京都大学)の多大なご尽力によるものである。これは、2021年10月20日の厚生労働省の新型コロナウイルスに関するアドバイザリーボードで資料として提出されたほか、21日に国立感染症研究所のサイト(https://github.com/yukifuruse1217/)にも掲載されている。

使用にあたっては短期的な予測から使用してみるとよいであろう。1〜4週間後の状況が現在の確保病床数を超える場合には、感染対策の強化を必要とする判断の参考として用いることができる。

使用にあたっての注意点を示す。ワクチン効果の初期値は、2021年8月頃にいくつかの国で報告されたデルタ株に対する有効性を参考にしている。今後、新しい変異株が出現したり、免疫の経時的な減弱でワクチンの効果が弱まった場合には修正(有効性の値を小さくする)を考慮する必要がある。

このツールだけで当然ながら様々な対策の判断がされるわけではなく、複数のうちの一つになればと考えている。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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