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急性中耳炎[私の治療]

No.5079 (2021年08月28日発行) P.39

保富宗城 (和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座教授)

登録日: 2021-08-30

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  • 急性中耳炎は,「急性に発症した中耳の感染症で,耳痛,発熱,耳漏を伴うことがある」と定義される。急性発症とは,耳痛,耳漏などの急性症状が発症し,48時間以内に受診した場合を示し,急性炎症の持続期間としては3週間を超えない。上気道炎などのウイルス感染に続発して発症すると考えられ,主な原因菌である肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラクセラ・カタラーリスの経耳管感染により発症する。急性中耳炎の治療では,急性中耳炎の臨床経過に影響するリスクファクターを理解し,初診時の重症度に合わせた治療選択を行うことが肝要である。

    ▶診断のポイント

    治療選択については,日本耳科学会,日本小児耳鼻咽喉科学会,日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会の「小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年版」のアルゴリズムを参考にする。急性発症の経過を判断し,中耳貯留液の有無を検討した上で,中耳腔の急性炎症の状態を評価する。臨床症状のみでなく,鼓膜の詳細な観察と客観的な評価が不可欠である。24カ月未満の乳児における急性中耳炎では,膿性中耳貯留液により乳白色の鼓膜膨隆を認めることが多い。

    初診時には,中耳貯留液の細菌検査あるいは鼻咽腔細菌検査を行い,鼓膜所見と臨床症状,年齢条件をスコア化して評価し,スコア合計点で軽症,中等症,重症の3つに分類する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    ・初診時の重症度に基づき抗菌薬治療を行う。軽症例に対しては,3~5日間は抗菌薬を投与せず対症療法のみで経過をみる。

    ・抗菌薬の第一選択としてはアモキシシリン高用量を用いる。一次治療の効果判定は治療開始3日後に行い,鼓膜所見の改善がみられる場合には抗菌薬投与期間は5~7日間を目安とする。鼓膜スコアの改善度が50%以下〔(初診時鼓膜スコア-3日目鼓膜スコア)/初診時鼓膜スコア<50%〕の場合には,二次治療に変更する。

    ・重症例あるいは二次治療では,鼓膜切開を組み合わせた治療選択を行う。

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