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■NEWS 慢性期入院医療や入退院支援などを議論―入院医療分科会

登録日: 2021-08-12

最終更新日: 2021-08-12

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診療報酬調査専門組織の入院医療等の調査・評価分科会は86日、慢性期入院医療や入退院支援などについて議論した。慢性期入院医療では、療養病棟の「療養病棟入院料12」届出病棟と、経過措置対象の251療養病棟では、入院患者の主傷病名や提供されている医療の内容に明確な違いがあることがわかった。

療養病床のうち、介護療養病床(介護療養型医療施設)は現時点で2023年度末での廃止が決まっている。これに対して看護職員配置251の医療療養病床は、できるだけ早期の廃止を求める支払側の要望もあり、20年度診療報酬改定時には入院料の減算率を引き上げた上で、経過措置の期限を21年度末まで2年間延長するだけの対応にとどめた経緯がある。

経過措置病棟は医療区分1が半数、週20単位のリハビリを提供

厚生労働省が分科会に示したデータによると、医療区分2および3に該当する患者の割合は、「療養病棟入院料1」届出病棟が約9割、「入院料2」が約7割。これに対して経過措置適用病棟(看護職員配置251または医療区分23該当患者5割未満)では、医療区分1の患者が半数弱を占める。さらに、過去7日間のリハビリテーションの提供単位数をみると、「入院料12」は約5単位だったが、経過措置適用病棟は約20単位を提供。入院患者の主傷病名で最も多いのは、「入院料12」は脳梗塞後遺症、経過措置適用は廃用症候群だった。

また、前回の改定では、中心静脈栄養の適切な管理を促すため、中心静脈カテーテル挿入時の要件に、患者・家族等に療養上必要な事項の説明を行うことが追加された。要件見直しの影響検証調査によると、調査対象施設の約1割が説明を行なったことで対象患者に変化があったと回答。その内容では、「中心静脈栄養以外が選択されるようになった」が療養病棟の全入院を通じて最も多かった。

経過措置の今後の取扱いについて猪口雄二委員(日本医師会副会長)は、N数がきわめて少ないために断定はできないとしながらも、「(現在の経過措置適用病棟は)短期の入院でリハビリ中心で入り、病名から見ても整形外科系の術後リハビリを行っている病棟なのではないか」と指摘。「それを経過措置としてよしとするかの議論が必要だ」と述べた。

■入退院支援、連携先施設が多いほど在院日数が短い傾向に

入退院支援では、▶「急性期一般入院基本料」と「療養病棟入院基本料」の算定施設では、「入退院支援加算1」の届出がある場合のほうが、「同加算2」の届出がある場合や加算の届出がない場合に比べて平均在院日数が短い、▶連携施設数が中央値以上の施設は、そうでない施設よりも平均在院日数が短い―ことがデータで裏付けられた。その一方で、「入退院支援加算2」の届出施設が「加算1」を届出できない主な理由は、要件である各病棟への専従の看護師または社会福祉士の配置が困難なためであることがわかった。

連携施設が多いほど平均在院日数が短い点について、牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、「最近増えているのは介護施設との連携だが、介護施設は種類が多く、規模が小さいために手間がかかる。効率的に入退院支援を進めるには連携に多くの人員が必要であり、この辺りの評価をさらに検討する必要がある」との認識を表明。山本修一委員(独立行政法人地域医療機能推進機構理事)は、専任看護師などの確保が難しいことが「入退院支援加算1」を届出できない理由になっている点について、単純に人材が不足しているのか、経営的に人を雇用する余裕がないのか、背景要因まで掘り下げた丁寧な分析が必要だと指摘した。

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